第五話 第三十七部 試合が終わって起き上がって
由紀「亜弓、亜弓!」
由紀の声にハッと気づきものすごい勢いで起き上がった。
亜弓「うぁあっ!? ……あれ?」
起き上がると由紀と深沢コーチ、真希や瞳もいた。
亜弓「私は…?」
由紀「意識失ってたよ。脱水症状だったから無理やり水を飲ませたけど。今は体調どう?」
亜弓「悪くは無いけど良くもない…。」
真希「無理しすぎないでね。心配したんだから。」
瞳「熱は…無いみたいだね。はい、スポーツドリンク。」
亜弓「ありがとう…。」
私はスポーツドリンクを飲む。勢いよく飲む。すごく体に染み渡った。私は無理をしすぎていたのだろうか…。……あっ!
亜弓「そういえば! 試合どうなった!?」
私が記憶を失ってから試合はどうなったのだろう。不安になっていると由紀がニコニコと表情を変えて言った。
由紀「勝ったよ。点数変わらず5対1。あの後館川が四奪三振で抑えたよ。唯一設楽に打たれたぐらいだったからすごく良いピッチングだった。」
亜弓「そっか…よかった。」
私はほっとした。何よりもチームが勝てたことにすごく嬉しかった。
由紀「それと亜弓、勝ち投手おめでとう。」
亜弓「えっ?」
由紀「よく投げきったよ。」
私もよかったのか。褒められた。それがどれだけ嬉しいことだろう。私は嬉しさで涙が出てきた。私はただ、
亜弓「ありがとう。」
この言葉しか出てこなかった。




