第五話 第二十九部 読み合い
私は少々不安げになりながらマウンドに向かった。疲れてきてるということなのだろうか。私は腕を一・二回ぐるりと回した。
由紀「亜弓っ。何しょげた顔してるの? 元気だしてっ!!」
そういって由紀はニコニコとしながら守備についていった。そうだ。私の後ろにはしっかり守ってくれる人たちがたくさんいる。だから私も信じて投げれば大丈夫!
次は七番の塚和からだ。彼はたしかキャッチャーだったからいろいろと戦略を練ってきてるだろう。でも私は実力で抑えるだけ。リードは友亀にまかせる。
塚和「(初球にストレートを叩けば次の打者には変化球が来るはずだ。心理的に考えて可能性が高いのはそれだ。決めた! この打席は初球が勝負だ。ストレートに山を張る。)」
友亀「(相手はおそらくストレートが合っていない。山をはったとしても変なところに投げなければそう簡単に打たれないはず。しかし相手も強豪校だ。そんな過信するつもりはないが…ここはストレートだ!)」
サインはストレートを低めに。思いっきり!
シュゴーー
塚和「(当たり!)」
キィーーーン!
友亀「ファースト!」
打球は振り遅れながら一二塁間へ打球はファーストよりだが打球が早い。
池之宮「くっ。」
池之宮がグローブを伸ばすが届かず。ライト前へと転がっていった。
設楽「ナイバッチ!!」
またヒットを打たれた。しかも振り遅れだったが、ストレートを待っていたかのようなタイミングの待ちだった。これはリードが読まれているのだろうか…。それとも私の球がダメになってきているのだろうか…。