第二十四話 第二十四部 プロの世界で
亜弓「お疲れ様です!」
由紀「お疲れ様でしたー!」
私達は学校に戻ると応援に来てくれた人たちに挨拶をする。決勝戦が終わった。これで後はゆっくり体を休めて関東大会に臨むことが出来る。
栗山「日高。御願いがあるのだが。」
亜弓「はい、なんでしょう。」
栗山「すまない、これから中山と深沢コーチとでミーティングがあるんだ。監督を呼んできてくれないか?」
亜弓「わかりました。」
私は荷物を持って歩きだす。すると由紀が後ろからついてきた。
由紀「私も一緒にいくよ。それに今日の試合のことでお話がしたいし。」
亜弓「お話?」
由紀「体調の方は平気なの?」
亜弓「まあね。でも疲れはあるよ。」
由紀「そうだね…。でも今後はもっと感覚がきつい中、亜弓と館川で投げていかなきゃ行けないからね。ちゃんと整えていかないと。」
亜弓「そうだね。」
由紀からのアドバイスを聞いていると私もやらなきゃという気持ちがさらに強くなる。由紀も頑張っているのだから私もやっていかなきゃ。
由紀「ここだよね。」
私達は監督室が見えてきて歩き続ける。すると部屋から誰かが出てきた。
溝野「こんにちは。」
亜弓「こんにちは…。」
誰かが去っていった。あの人が監督に用があったのだろうか。そう思いながらドアの前へとついた。
府中「芦毛…!」
ドアをノックしようと思った瞬間、府中先輩の声が聞こえてきた。そして芦毛先輩の名前を呼んでいる。
芦毛「俺もプロの世界には行く。お前に負ける気はない。正直、俺はお前よりは評価は低いと思っていたし、プロに入れるかなんて思っていなかった。けどな、こんなに上の評価をしてくれる球団があるんだ。だから言う、お前には絶対に負けない。」
府中「ああ、俺だって負ける気はない。だけど何でだ。そうまでしても俺に敵対心を持つのは何でだ!」
芦毛「お前が…羨ましいんだよ! 自分でもわかっているんだ、嫉妬しているって。そこまでのセンスを持っていて…。だからこそ負けたくない。今日から敵だ。」
そういって芦毛先輩がドアの方までガツガツと歩いてくる音が聞こえてきた。私と由紀は急いで離れてドアの横へと移動した。芦毛先輩は私達の方側とは逆に歩いていった。こっちを見る気にもなっていなかった。…私達、とんでもない所にでくわしてしまったのかもしれない。