第二十四話 第十七部 天才の力
海鳳の打球がセンターのバックスクリーンへと勢い良く飛び込んでいった。いきなりのホームラン、さすがというべきか…当たり前というべきか。
海鳳「っしゃあ!!」
由紀「やっぱり海鳳すごいよね。私なんかより全然センスある。」
亜弓「でも由紀だってヒット量産しているじゃない。」
私が由紀のうらやましがっている所を見て声をかけた。だがその言葉を聞いた後、とても真剣な表情で、だけど笑顔を見せていた。
由紀「私の場合はどんな球でもヒットにさせることは誰にも負けない自信はある。だけど…海鳳はバッティングに関する総合的なセンスがすごい。アレは私にもまねができない。バットコントロール、ヒットにさせる力、ホームランにさせる力、そして対応力。総合的に見ても私が叶う相手じゃない。おそらく…新山に勝るとも劣らないほど。」
私はその言葉を聴いて海鳳を見た。初めて会ったときからすごいとは思っていたけど…あれだけのバッティングセンス、どんなときでも堂々としていてものすごい自信に満ち溢れている。彼女にだって真剣な態度で付き合っているし…。あのホームランは本当にすごかったから…。
池之宮「ナイスバッティング。」
海鳳がベースを踏むと池之宮が待っていた。
海鳳「おうよ。」
池之宮「お前から四番の座を奪い取ってやるからな。覚悟しておけよ。」
海鳳「来いよ。そうやって追いかけてくる奴がいると俺も燃えるからな。」
そういって海鳳はベンチへと戻って来た。ベンチも皆が笑顔になっている。私も…この人みたいにすごくなってみたい。
海鳳「点とったぜ。頼むぞ。」
亜弓「ありがとう。後ろも任せたからね。」
海鳳「おうよ!!」
ギィィイイイイン!!
池之宮「(四番は…俺のものだ!!)」
私達が喜んでいる間にも池之宮がとんでもない打球を放っていた。あの人も…本当に…。すごい、すごすぎる。
篤史「こりゃ…レギュラーとるのは難しそうだな…。強いチームだよ、まったく。」