第二十四話 第十三部 すぐさま仕掛けるが
戸逗「(その球をいきなり打つかよっ!!)」
古川「つぅ!!」
打球はサードの頭を越えていった。打球も力強い。いきなり長打になりそうな気がする。やっぱり…由紀はすごい…!
由紀「(守備位置…厳しいけど…あの位置での捕球なら間に合う!)」
由紀は一塁ベースを思い切り蹴る。全力疾走でセカンドベースへと向かっていく。レフトを見ると、あらかじめ前進守備をしていたため、すぐに捕球をしていた。
後藤「舐めんじゃ…ねぇ!!」
シューーーー ズザザザ バシン!!
審判「セーフ!!」
由紀「いえーい!!」
倉「(やっぱり…速い!!)」
由紀の全力疾走が勝っていた。由紀は嬉しそうに右手を上げて喜んでいた。一球ごとに喜んでいて、全力で取り組んでいる。それがなによりも野球が大好きだということを見せてくれていた。
伊野「(奴に打たれたのは仕方ない。だがここから抑えるぞ。)」
バッターボックスには二番の栗山先輩、この回から一気に点をとっていきたい…! 由紀は大きなリードをとる。ピッチャーは気にしているけど牽制を見せるそぶりはまったくない。
ダッ!
古川「三盗!!」
戸逗「(わかっているよ!!)」
シュッ グググッ
栗山「(甘い…とらえられる!!)」
ギィイイイン!! バシーーン!
尾上「っぶねぇええ!!」
アウトー!!
伊野「セカンド! 間に合う!!」
ヒットエンドランをかけたが、打球はファーストライナー。そのまますぐにセカンドへと送球される。スタートを切っていた由紀は戻れずにいた。
バシン アウト!!
栗山「(くそ、真正面かよ。)」
由紀「(そういうときもあるけど…これはデカい。)」
すでにツーアウト、たった2球でツーアウトになってしまった。私はベンチから出て、友亀とキャッチボールを始めた。
篤史「日高、腕は大丈夫か?」
亜弓「あ、はい。投げていたらもう疲れはありません。」
篤史「そうか。だけど慢心するなよ。」
亜弓「わかりました。」
私は新山の声を聞いてキャッチボールを始める。中山先輩が粘ってくれている。でも…あの投手もなかなか簡単に打たせてくれない。
シュゴオオ ギィイン!
中山「ちっ。」
バシン アウト!!
打球はセカンドへの小フライ。だけど7球も粘ってくれた。私は腕を回しながらマウンドへと向かっていく。
由紀「頼むよ亜弓。」
友亀「っしゃあ、いこうぜ!」
亜弓「はい!」




