第二十四話 第二部 皐月の過去
亜弓「えっ? 私に?」
私に聞きたいことって何だろう。皐月に会える機会というのはなかなか無いから、ちゃんと聞いておかないと。
皐月「亜弓さんはどうして高校野球をやろうと思ったのですか?」
亜弓「えっ。」
びっくりするような質問がやってきた。どうして、か。そう聞かれるとあの時のことを話すことになる…。でも皐月さんは真剣に聞いている。だから答えないと。
亜弓「私はね、小学校と中学校でも野球をやっていたの。女子で野球をやっている人がいなかったからもちろん男子と一緒だったのだけどね…。中学のときに仲間たちに嫌われていて…。」
皐月「…。」
亜弓「キャッチャーだけだったかな? 私のことを信用してくれたのは。ちゃんと試合では投げていたし、それこそ勝てる時もあったよ。でも…最後に仲間たちに故意にエラーされて。でもね、高校に入ったら由紀と出会って。由紀の前向きな姿を見ていたら野球を…続けたくなってね。」
皐月「そうだったのですね…。」
亜弓「ごめんね、暗い話になっちゃって。」
皐月「いえいえ…。すごくわかります、その気持ち。」
亜弓「えっ?」
皐月は上を向きながら話し始めた。
皐月「私も中学で男子と混ざって野球をやっていました。だけどまったく相手にされずに、コーチや監督からも毛嫌いされていました。私には才能がありませんから…。」
亜弓「そんなことないよ。すごいコントロールいいし、この前の試合も良かったよ。」
皐月「昔はあんなにコントロール良く無かったですよ。だから…一人で努力し続けました。そのおかげで…千道さんにも出合えて、いまこうやって野球をやっていけてます。」
亜弓「そうだったのですね。」
私が聞き終えると皐月さんは大きく深呼吸をした。そして私の方を向いて笑ってくれていた。
皐月「ありがとうございます。今こうやって話せて本当に楽になりました。」
亜弓「……そうだったのですね。こちらこそ。」
私は聞いてよかったと思いながら自分も笑った。そうして皐月さんはもう一度前を向いた。
皐月「私には皆さんみたいな才能も無いですし武器もそう良いものではないです。けど…その差を努力で埋められるように頑張ります。次戦うときは…よろしくね!」
亜弓「もちろん、よろしく!」
私は皐月さんとグータッチして勝負を約束した。きっと皐月さんなら大きな壁があってもこえられる。私もこえてみせる!
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