第二十二話 第十七部 奈菜との再会
ギィイーン!
亜弓「へぇ、硬式専用のバッティングセンターなのですね。」
篤史「なんだろう…懐かしく感じますね。」
佐奈「そうよね、篤史君はしばらくアメリカにいたからね。」
真菜「プロ野球の世界に入ったら、私もこのバッティングセンターに通うのが難しくなるのよね。」
真菜さんが車を駐車場に止めながらつぶやく。そうか…真菜さんはおそらくプロに指名されると思われる。となると生活も…。
真菜「どこに呼ばれても頑張っていかなければいけないからね。挨拶はちゃんとしていくつもりよ。」
佐奈「佐奈姉、篤史君が帰ってきてからしゃべるようになったね。」
真菜「…うれしいからね。」
真菜さんがうれしそうな顔をしている。それだけ…新山には期待しているということなのだろうか。
亜弓「人もけっこういますね。」
篤史「たまにプロの選手も来たりしているよ。」
ギィイイン!
佐奈「やってるやってる…。あれ? 奈菜じゃない?」
佐奈さんが声をかける方を見る。バッティングゲージから一人の女の子が出てきた。あれ…どっかで見たことがあるような。
奈菜「あれ? 真菜姉さん、佐奈姉さん。」
真菜「バッティングセンターにいたのね。」
奈菜「ええ、今日は銀杏も一緒に。」
亜弓「銀杏?」
奈菜「あ、亜弓さん。こんにちは。お祭り以来ですね。」
亜弓「お久しぶり。銀杏って誰?」
奈菜「山茶花桜さんの妹です。私と同学年の…。ほら、あそこに。」
ギィイイイイン!
きれいなスイングでバッティングをしている女の子、そしてきれいな灰色の髪、短いながらもどこか姉に似ているような気がした。その子が振り返ると姉と同じカチューシャをしている。あれに間違いない。
篤史「お久しぶり。」
奈菜「……うぇえ!? あ、篤史兄さん!? か、帰ってきたのですか?」
篤史「ああ。」
亜弓「兄さんって呼んでいるのですね。」
奈菜「あ、えっと。昔から仲良くしていただいたので…。」
なるほど…新山と真菜さん、佐奈さん、奈菜はまるで家族みたいな仲だったのか…。




