第二十一話 第四部 由紀のファインプレー
シュゴオオオ ギィン!
友亀「オーライ!」
バシン! アウト!
瀬棚「(こいつ、想像以上にノビる。マジで落ち着いていかないとヤバイな。)」
二番の瀬棚をキャッチャーフライに打ち取り、ツーアウト。ここでバッターはキャッチャーの瀧澤、富良野学院の中でも強力なバッターの一人なはず。落ち着いていけばストレートで抑えられるはず。
シュゴオオオオ
瀧澤「(あいつの球を受けているおかげかな、どうノビるか想像できる!)」
ギィイイン!
亜弓「えっ!?」
友亀「レフト!!」
海鳳「羽葉! バックだバック!」
打球はレフト方向へとライナーで強烈な当たりで飛んでいく。初球からいきなりストレートを叩かれるとはまったく思っていもいなかった。
由紀「っらああ!」
バシーン! ズザザザ
アウトー!!
新天「ナイキャッチ!!」
由紀のダイビングキャッチで長打をアウトに変えてくれた。これでスリーアウトチェンジ、本当に助かった。
亜弓「由紀! ありがとう!」
由紀「大丈夫だよ! よし、今度はバッティングで魅せるからね!」
由紀は嬉しそうな顔で私の肩をポンポンと叩くと走ってバッティングの準備を始めた。そうだ、私達がこれから向かう相手は暁美さんなのだから。
バシューン!
瀧澤「ナイスボール! (このチーム、やっぱりいいな。いい試合ができそうだ。)」
暁美「ふぅ…。よし!」
暁美さんが準備を終えると由紀がバッターボックスに入る。由紀がゆっくりと構えると暁美さんは集中し始める。なんだか…似た雰囲気を感じたことがあるかもしれない。
篤史「(こんな人がいたなんてな。周りの人と比べたら物が違う…。俺なら…どうだろうか。)」
暁美さんが足を上げる。セットポジションから思い切り踏み込むと腕をしならせる。
暁美「っし!!」
シュゴオオ バシューン!
ストライクワン!
由紀「(うっわ、速すぎでしょ…。)」
館川「スピードガン見てみろよ。すごすぎだよアレは。」
球速表示を見て私達は声すら出なかった。初球のストレートは156キロ、こんな球を投げれる人が高校生にいるのだろうか。いや、ここにいる。




