第二十一話 第三部 勝ちにいく
審判「礼!」
皆「っしゃあっす!」
挨拶を終えると私はマウンドへと向かっていく。関係者以外は入ることが出来ないのだが、それにもかかわらず多くの応援団とギャラリーがいた。おそらく甲子園出場校との対決、そしてなんといっても暁美さんの注目が一番だろう。富良野学院といったら負け無しで進んできている。その記録がいつまで続いていくかも気になる所。でも…私達だって負けるわけにはいかない。
由紀「(頑張って、亜弓。)」
友亀「一回! しまっていくぞ!」
私は大きく深呼吸する。これから迎えるのは高校最強のチーム、かといって弱気になっていたらダメ、勝つ気でいかなければ。そして先頭バッターがバッターボックスに入る。一番は二年生の中でもかなり足が速いといわれている小垣江、私の球がどこまで通用するか…。でも…私ならいける!
シュゴオオオオ バシン! ストライクワン!
小垣江「(やはり八幡の言っていた通り、ストレートのノビと出所の分からない投球フォームは厄介だな。これ打つのには苦労するぞ。)」
暁美「(夏の経験があったのかな。前よりも良い雰囲気になっている。それに…何か嬉しさを感じる。)」
シューーーグッ ギィン! ガシャン!
ファールボール!
カットボールはしっかりと相手も当ててきた。だけどファールボール、そしてここで普通ならストレートで抑えたい所だけど、暁美さんは私のことを知っているはず。だから…あえてここは変化球勝負、スラーブで!
シュッ ググググッ
小垣江「(変化球だと!)」
ブシィ バシン!
ストライクバッターアウト!
亜弓「っし!」
新天「ナイスピッチー!」
海鳳「ワンアウトー!」
私が三振を奪うとスタンドから拍手が沸き起こった。公式戦以外でこんな感じになったのは始めの出来事、だとしてもこの雰囲気に飲まれちゃいけない。私は…皆と共に勝ちに行くのだから!




