第二十話 第四十四部 人間業なのか
篤史「ふぅ…。」
海鳳「マジかよ。」
余裕のキャッチを見せた新山、こんなにもすごい人だなんて…。しかもそのままセンターへと走っていく? もしかして全てのポジションをこなそうとしているのではないのだろうか。でも…そうにしか見えない。どうしたらそんな判断力と瞬発力をつけられるのだろうか。天才…いや、鬼才。一生のうちに現れるかどうかというのは…今、目の前で起こっている。
「新山、日高、羽葉、あがってこい!」
亜弓「はい!」
私達の打撃の出番がやってきた。それと同時に新山もあがっていく。そして二人の部分が空くと同時に新山が入っていく。隣には…由紀が。
由紀「お願いします。」
篤史「お願い致します。」
私は二人が終わると同時に次に上がる館川と共に打つ。その間に…後ろで由紀と新山の打撃を見ることが出来る。
シューーーー コツン
シューーーー コツン
由紀も新山も難なくバントをこなしている。けど…新山がとんでもない。さっきから涙腺上の完璧なバントしかしない。そんなバント、あの沖田でさえ見たことが無いのに…。
篤史「ふぅ…。」
バントが終わり、打撃体勢へと入っていく。いったいどんなバッティングを…!
篤史「(さあ…こい!)」
亜弓「…!!」
由紀「(やばい、とてつもない威圧感が隣で…。)」
後ろで待っていてさえものすごい威圧感を感じた。あの暁美さんとはまったく別の、勝浦さんとも、他の人とはまったく違う。
シューーーー
篤史「ふっ。」
ギィイイイイイン!!!
海鳳「…えっ。」
ガシャーーーン!!
新天「マジかよ。」
とんでもない打球がセンターのフェンスに直撃した。誰もがその打球に反応できていなかった。センターにいる海鳳のすぐ横を通ったのに…海鳳はまったく反応できていなかった。本当に人間業なのだろうか。




