第五話 第二十三部 淡白な攻撃
亜弓「ぷはっ。」
私は汗でぬれてしまったアンダーシャツを脱いだ。ここまで12者連続三振。出来すぎなぐらいでちょっと自分が怖い。でもこれが私の良いところであり、武器なんだ。腕をグーパーと握ってみるがまだ力は出る。前だったらここで手の力が落ちていた。練習の成果だ。このままエースを狙いたい。
私はアンダーシャツを着るとベンチに戻った。よく見るとすでにツーアウト。あっさり終わってしまったのだろうか。
米倉「おお、お帰り。一番の伊沢は惜しかったけどショートゴロだった。」
伊沢「面目ねえ。」
沖田「俺もセカンドゴロに終わっちまった。」
由紀「それで今は海鳳がバッターなの。ツーストライクに追い込まれているの。」
亜弓「そうなの?」
新天「牛田が二球連続でめっちゃ落ちるフォークボールを投げているから全部空振りしてるんだ。」
亜弓「えっ、あの海鳳が?」
伊沢「でも三球連続で続けたら打たれるだろう。」
そうだ。選球眼の良い海鳳なら打てるはず。
グググッ
すごいフォーク!
キィーーーン
友亀「センター!」
海鳳がすくい上げた打球はセンターへ。打球は上がりすぎているだろうか。それでもバックスクリーンへ粘り強く伸びていく。
設楽「取れるぞ! フェンス気をつけろ!」
森口「まかせろ!」
センターが落下地点に入ると楽な姿勢で捕球体勢に入った。
バシン アウトーー!
これでスリーアウトチェンジとなった。五回は淡白な攻撃で終わってしまった。