第二十話 第三十八部 ナックルボーラー
バシン! ストライクバッターアウト!
亜弓「っし!」
ブシィ バシン ストライクバッターアウト
茜「ふぅ…。」
私達はお互いに良い投球を続けられた。一点で止まったのが悔しい所だけど私は一点も取られずにマウンドを降りることができた。相手も茜からエヴリンへと変わろうとしている。六回は由紀からの打順になる。いきなりの対決…エヴリンはどんな球を投げるのだろうか。
茜「気合いれていこうね。」
エヴリン「任せて。相手、ものすごく、強いって聞いたから。気合入っているよ。」
亜弓「由紀、頑張ってね。」
エヴリンはゆっくりと肩をまわしながらピッチングをしている。そして準備が出来ると由紀がバッターボックスに入った。
エヴリン「(最初から、勝負しに行きますよ。)」
エヴリンはノーワインドアップから足を上げる。そしてゆったりとしたフォームから…。
シュッ
由紀「(えっ? まさかこれって。)」
亜弓「うそっ!?」
ユラッ バスン
ストライクワン!
由紀「(広島代表の選手が使っていたのは知っていたけど…まさかこんなところにもいるなんてね。しかも…すごいゆれているし。)」
由紀もかなり戸惑っている様子だった。あのナックルボール、とんでもないボールなのは間違いない。だけどまさか女子で投げる人がいるだなんて…。
由紀「(やっぱすごいね、こうやってすごい人がいると…私も燃えるよ!)」
シュッ ユラッ
由紀「(見て捉えられるような変化球かどうか分からないけど…振るしかない!)」
ブシィ! バシン!
ストライクツー!
海鳳「やべえな。たち悪いことにナックルがストライクゾーンに決まっていく。」
たしかにもうすでにツーストライクへと追い込まれていた。次に決めてくるか、それとも…。
エヴリン「(こういうときこそ、ストレートが生きるはず。)」
由紀「(ナックルボールは正直…当てられる気がしない。だとしても…チャンスは狙っていく!)」
シュッ シュゴオオ
由紀「ストレート!」
ギィイン!!
エヴリン「なっ!?」
茜「(あの対応力は何なの!?)」
打球はセンター前へと飛んでいく。ナックルからいきなりストレートになっても、簡単にヒットにさせてしまうなんて。やっぱり由紀は…才能の塊なのかもしれない。




