第二十話 第二十一部 意外な伏兵
バシーン ストライクバッターアウト!
糸満「(ちっ、なんだこのストレートは。)」
六番バッターを三振にしとめてスリーアウトチェンジになった。とにかくここまで無失点で投げていられる。これなら問題なく抑えられる。
篤史「あの投手って女性でしょ? でも…こんなスタイルじゃなかったはず。もっと勢いがあって…。でも良い感じで投げているよね。」
「そうね。甲子園で戦っていけるメンバーだと思う?」
篤史「そうだね。俺がいなくても甲子園で勝てるメンバーだと思うよ。むしろ今の状態では自分が戦力になれるかどうか…。」
ギィイイン!
新天「ちっ。」
バシン! アウトー!
ガキィッ
米倉「(やべ。)」
瑞華「サード!」
石出「っし!」
シュゴオオオ バシン! アウト!
吉岡「ツーアウトな! ツーアウト!」
村瀬「ここ抑えて次につなげていこうぜ!」
すでにツーアウトでバッターは七番の伊沢。正直期待できるほど良い場面とは言えない。私もそろそろ準備しないと。
海鳳「そういえば伊沢ってこういう投手は得意だったな。」
亜弓「えっ。」
海鳳「試合を観戦してたときなんだけどさ、遅い投手に限ってめちゃくちゃ打つんだよ、あいつ。」
ギィイイイン!
伊沢「っしゃあ!!」
酒井「うっそだろ!?」
瑞華「レフト、センター! (さすがに予想外すぎる。まさかここで打たれるなんて。)」
石倉「俺は間に合わない、阪戸頼む!」
阪戸「おっらああ!」
村瀬「(こいつ、もう二塁まで向かってくるのかよ!)」
ズザザザザ バシン! セーフ!
伊沢「ったあ!」
池之宮「マジかよ。」
沖田「ナイスバッティン! 伊沢!」
伊沢がこの場面でヒットを打ってくれるなんて。それもツーベース、この回にも先取点を取れるチャンスはある…!




