第二十話 第十八部 落ち着きのあるプレー
酒井「(カーブ持っていかれた。なんだあのバッターは、女性選手ってこうも皆すげえやつらなのか? まあ、だとしても次のバッターを抑えてやるけどな。点は取らせない!)」
次のバッターは沖田、サインを見ると始めからバントの構えをしている。バントが得意な沖田はしっかりとバントを決めてくれるだろう。
由紀「…。」
ザッ
吉岡「ランナー走った!」
酒井「わってるよ!」
由紀が初球から盗塁を仕掛けてきた。最高のタイミングで走ってきた!
シュッ
沖田「(はずした。だけど羽葉の足なら!)」
バシン!
だけどピッチャーもわかっており、外にはずす。そして瑞華が投げる体勢に入った。
瑞華「っし!」
シュゴオオオオ ズザザザ バシン!
審判「セーフ!」
由紀「あぶぶ…。いえい!」
タイミングがギリギリだった。だけどセーフはセーフだった。そして由紀は私に向けてVサインを送った。ナイス盗塁、由紀。
コツン
瑞華「ファースト!」
バシン! アウト!
吉岡「ワンアウト! ランナー三塁ね!」
阪戸「こっちにも打たせてくれよー!」
石倉「そっちにフライでも打たされたら犠牲フライになるだろー!」
向こうも結構落ち着いているみたいだった。さすが甲子園に出場しているチームは違う。だけどこっちも三番の海鳳がやってきた。
海鳳「よっしゃ、俺に任せろ。」
ピッチャーはすぐにテンポ良く投げ始める。まるで相手に考える隙を与えないぐらいに。
シュッ グググググッ
海鳳「(いきなりカーブかよ。)」
ギィイイン!!
一条「(こっち来た! お願い、入って!)」
バシーン!
海鳳「うそん!」
打球は勢い良く飛んでいったが、センターへは抜けず、ショートがジャンプキャッチでライナーに終わってしまった。それにしてもあの反応速度は何だろう。怖がって捕っているようにも見えたけど…。それだけじゃあのボールは捕れないはず…。




