第二十話 第十七部 由紀はやっぱり
由紀「ナイスピッチング、さすが亜弓だね。」
亜弓「ありがとうね。打たせて取るピッチングもうまくいけるみたいだったから良かった。」
友亀「だけど日高、次からはいつも通り、三振を取りに行くピッチングに切り替えるぞ。なんといっても日高の持ち味はその奪三振なんだから。」
亜弓「わかりました。」
私は返事をして水筒に手をだした。そして口に含みながらマウンドの投手を見る。
由紀「いってきます。」
海鳳「おう、先頭からぶちかましてくれよー!」
バシン!
瑞華「ナイスボール!」
急速は高校生にしては…平均なのだろうか。120台の直球に見える。だけど…何か不思議な感じがする。このピッチャー、何かありそうな気がする。
由紀「(スロータイプのピッチャーね、しっかりとひきつけて叩ければいつものようにヒットを打つことができる。)」
瑞華「セカン!」
シュゴォオオ バシン!
一条「ナイスキャッチャー!」
沖田「おいおいやべーじゃないか、あのキャッチャーめっちゃ肩良くないか?」
たしかにあの瑞華の送球は尋常ではない。だけどキャッチャーは肩が良いだけではやっていけない。どんなリードと守備を見せてくれるのだろうか。
由紀「お願いします。」
由紀がバッターボックスに入る。最初は左打席、由紀は深呼吸をして投手を見る。由紀の集中力はやっぱりすごいものだった。
瑞華「(とにかく厳しいコースをついていかないとこのバッターは抑えることができない。まずコーナーギリギリを攻めていくよ!)」
サインに頷き、投手が足を上げる。あの酒井投手はどんなピッチングを見せるのだろうか。
シュッ グググッ
池之宮「スローカーブ!」
由紀「(限界まで…ひきつけて。無理に引っ張らずに。)」
由紀がしっかりとタイミングを合わせてボールを見ている。いや、もしかしてボールは見ずに足でタイミングを計っているのだろうか。
石出「(なんだこのバッターは…。)」
ギィイイン!!!
由紀「っしゃ!」
打球は三遊間を軽く超えてレフト前へと飛ばしていった。いきなりヒットを打つなんて…なんて人なのだろうか。いや、もうこれは由紀だから当たり前のようにこなしてくれる。さすが由紀だ。




