第二十話 第十六部 三番石出
シュゴオオオ ギィン!
阪戸「(セカンドゴロか…。だけど走れば!)」
変化球を打った打球はセカンドへと転がっていく。しかしバッターランナーはものすごい勢いでファーストへと走っていく。
米倉「っと!」
バシン! ドッ アウト!
池之宮「ナイスセカン!」
海鳳「(アレでギリギリかよ、ずいぶんとやばいのがそろっているじゃねぇか。)」
なんとかセカンドゴロでアウトにしとめてツーアウト、そして次のバッターは三番の石出がバッターボックスに入った。キャッチャーの情報によるとこのバッターがこのチームの中で一番気をつけるべきバッターらしい。いったいどんなバッターなのだろうか。
石出「しゃっす。」
友亀「(風格あるな。)」
由紀「(このバッター…いいね、楽しみ。)」
目の前に立つ石出というバッターから不思議な感じがする。あの人たちとはまったく別物の…だけどすごくピリピリとした雰囲気が。とにかくまずカウントを稼ぐ。初球のサインは変化球。
シューーー グッ バシン!
ストライクワン!
石出「(変化球…だとしたら次はストレート。)」
ピクリとも動かずにじっくりと見ていた。これだけじっくり見られるとすこしやり辛いかもしれない。
シュゴオオオ バシン!
ボールワン!
友亀「いいコース来てるよ!」
石出「(たしかに…ヤバイな。だけど次もストレートならいける。ストレートのタイミングで振る。)」
私はボールを受け取りサインを見る。ストレート、高めにボールになってもいい高さで!
シュゴオオオ
石出「(高いな。だが!)」
ギィイイン!
由紀「(こっちにくる!)オーライ!」
打球はレフトへ高々と上がっていく。しかしかなり高い。ボールの下を叩いてくれたおかげで楽にアウトが取れそう。だけど…ここまで飛ばすなんて。
バシン! アウト!
石出「(あそこからまたノビてきたか。だけど次は打つ。)」
私は由紀がキャッチしたのを見てマウンドを降りていく。三振を奪う投球前提ではなく打たせて捕る形にしてもなかなか上手くいく。この調子で次の回も抑えていく!




