第二十話 第十五部 試したいこと
友亀「ボールバック! セカン!」
数回投げるとボールが戻される。私はセットポジションに入り盗塁を意識して素早く投げる。
シュゴオオオ バシン!
友亀「っし!」
バシーン!
伊沢「ナイスボール!」
友亀はきれいな送球をしていた。一年生同士の試合だけれども仲間たちは気合が入っていた。私も目をつむって大きく深呼吸をする。そして目をあけてバッターボックスにいる選手を見つめる。
石出「袴田、あれが同じ一年生の女性投手か。」
瑞華「ええ。正直、かなりレベルが高いですよ。特にストレートは。いや、なによりもフォームですかね。」
村瀬「お願いします! 女性が投手ですか。」
友亀「ああ、そっちも捕手が女性だっけな。」
村瀬「楽しみにしてるぜ。」
一番バッターは村瀬、このチームの一二年生はレベルが高いと聞いている。だからこそ私の今の実力を試せる。付け焼刃かもしれないけど一試合投げきることを意識した投げ方も試してみたい!
シュゴオオオ バシーン!
ストライクワン!
村瀬「…なんだ? いまの。」
酒井「…なんで村瀬は驚いているんだ? アレぐらいの球速はよく見るはずだぞ。」
瑞華「バッターボックスに立てばその理由がわかりますよ。」
石出「(今、横から見ても球がノビているのがわかった。あれはいったいどこから生み出されているんだ。)」
シュゴオオオ ブシィ バシン!
ストライクツー!
村瀬「やべっ。」
ツーストライクと追い込む。八割の力でもここまで抑えることが出来る。サインは…カットボール。三振じゃなくて打たせて捕る方法も考えていかなければ!
シューーーー
村瀬「(内角低め、振っていく!)」
グッ ギィン!!
村瀬「曲がった!?」
石倉「あれはカットボールか。」
新天「っしょ!」
バシン! アウト!
サードが綺麗に処理してくれてアウト一つを捕ることができた。大丈夫、落ち着いていけば上手くいける。でも…気合も入れていかないと。
阪戸「っしゃっす。」
次のバッターは二番の阪戸、このバッターも足が速い。気をつけていかなければ。
一条「ドンマイ、村瀬。」
村瀬「いやー、やべえな。カットボールも投げてくるからさ。ありゃ苦労するわ。羽計とは違ったタイプで攻略が難しそうだな。」
吉岡「っしゃ、俺が思いっきり振りぬいてホームラン打ってやる。」
糸満「まずバットに当てることから考えようか。」




