第五話 第二十部 連続奪三振は何処まで続く
四回、前に先輩達と練習試合をして、打たれ始めたのはこの回からだ。抑えられるようになったら合宿の成果が現れたということだ。絶対に抑えたい、抑えてみせる!
相手の打順は一番に戻って飯田だ。きっと対策を練ってきてくるだろう。それを予測したかのように友亀からのサインが初球スラーブ、リードの仕方を変えてきた。これでバッターを惑わせるつもりだ。サイン通りに投げてコースが上手く決まれば抑えられるはずだ。ミット…めがけて!
ググッ バスン
ストライクワン!
バッターが予測するより球がやってこないスラーブが外角に決まった。といってもこの表現は友亀から見て言った言葉を使っただけれども。それでもこのスラーブは上手くいっている。そしてもうひとつ、サインが来た。
ググッ
飯田「(球がこねえ!)」
ブン! バスッ
ストライクツゥ!
このサークルチェンジも上手く決まる。私にはあと二つ、カットボールとチェンジアップがある。これだけ投げれるだけでも十分すぎるぐらい抑えられるって友亀が言っていた。だからそれを信じて投げるだけ!
シュゴーーーー ブシイ バシン!!
ストライクバッターアウト!
友亀「よっしゃ! ナイスピッチング!」
飯田「(高めの釣り球にやられたっ!)」
新天「ナイスピッチングだよ!」
最後に高めのストレートで抑えることが出来た。前の変化球が効いていたのだろう。これで10人連続奪三振だ。それにしても配球がほとんどストライクゾーン、ボールの要求は変化球か釣り球、様子見でしか投げていない。すごく省エネ投球にはなるけれどもこれで本当に良いのだろうか…。
次は二番の森口。このバッターに対しても初球はチェンジアップ。前の速い球だけ投げていたから球速感覚を錯覚させるためだろうか。私も投げているうちに考えるようになってきた。
グググッ バスン
ストライクワン!
よし、良いコースに決まった。次は…カットボールをインハイに。早い球を見せるということなのか。
シューーークッ ブン! バシン!
ストライクツウ!
相手は振ってきたけど全くタイミングが合っていない。そしてここで遅い球を要求…しない!? 全力でストレートを低めに。ちょっと考えていた配球とちがってびっくりした。でもそのサイン通りに投げていくっ!
シュゴーーーーー バシン!
ストライクバッターアウト!
友亀「よっしゃ!」
由紀「ナイスピッチング!」
森口「(て…手が出なかった。)」
見送り三振。これで11人連続奪三振。今のコースは自分でもすごく良いところに決まったと思う。これなら…いける!