第二十話 第八部 関西大阪高校と引退試合
審判「礼!」
皆「しゃああっす!」
私たちは大きな声をだして挨拶をした。先輩と一緒に出来る最後の試合、私はベンチスタートだけど…途中から試合に出してもらえることになった。桃音さんはもちろん四番にいる、そして由紀は六番にすわっていた。あのスタメンでまた戦えるなんて。
卜部「(二年生投手の葛西が先発か。甲子園で活躍したあの投手とも戦えるなんてな。楽しんでやるぜ。)」
シュゴオオオ ギィィン!
卜部「っらあ!」
卜部さんは初球から思い切り振っていく。打球は二遊間へと転がっていく。ショートがしっかりと捕球してファーストに投げる。
バシン! ダッ!
アウト!!
卜部「ふぃー、全力で走ったけど間に合わないか。」
府中「卜部、何も考えずに振りすぎだ。」
卜部「うっせ!」
いつもの感じがやってくる…。でも…これが最後になってしまうのが怖いというか。心配になってきた。
シュゴオオオ ギィーン!
桃音「オーライ!」
府中先輩はサードフライ、でもとても楽しそうな顔をしていた。こんなに先輩たちが楽しんでやっているのを見ると、出たくて出たくて仕方がなくなる。早く、私の出番がやってきて欲しい。
ギィイイイイイン!!!
芦毛「(うわ、やられた。)」
桃音「ふぅ…。」
由紀「(どこまで飛ばすのよ…。さすがに無理。)」
ドッ!
葛西「ナイスバッティングです、安富さん!」
二回、桃音さんのレフトへの大きなホームラン、スクリューを完璧に捕らえて引っ張っていった。これが…高校三大バッターの一人である桃音さん。なんてバッターなのだろうか。
桃音「いえーいッス!」
葛西「よし、俺もしっかり抑えていきますよ!」
ギィイイイン!
葛西「うそっ!」
府中「(俺だって意地はあるんでね。)」
ドンッ!
芦毛「ナイスバッティング府中!」
卜部「やるじゃねえか。」
府中先輩のホームランも飛び出していく。これで同点、試合は振り出しへと戻っていく。そして…打たれてもなお楽しんでいる相手チームも目の前に見えていた。
日下部「日高、次の回からいくぞ。準備しておけ。」
亜弓「は、はいっ!」
私の出番…次の回からあのチーム相手に投げることになる。桃音さんとも対決が…出来る!




