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ドクターK少女  作者: レザレナ
第二話 スーパー一年生
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第二話 第一部 マネージャー&部活動へ

「おっはよー!」

 由紀が元気よく教室に入ってきた。その挨拶は校舎内にこだまするほど大きな声だった。…しかし教室には私一人しかいない。由紀は赤面しながら、

「おはよう…」

 と小さく挨拶した。確かにこれはとてつもなく恥ずかしい。なぜか聞いてしまった私も恥ずかしくなってきた。私はこの恥ずかしさを紛らすために、何か話題をふった。

「き、今日はいよいよ野球部の体験入部だね…」

「そうだね…うん。」

「…」

「…ぷっ」

「…ははっ」

「ぷっははははは!」

「ははははは!」

 恥ずかしさを超えて、私たちは涙がでるほど大爆笑した。

 そんな中一人の生徒が教室に入ってきた。

「ははっ…あ。」

「あ。」

「あ。」

 三人とも声をそろえていった。私は入ってきたクリーム色の髪をした女性と目が合った。

「…おはようです…。」

 その女性はペコリとお辞儀すると、なぜか顔を赤らめながら席へ移動した。しかし、途中でとまってこちらを向き、私たちに話しかけてきた。

「えっと、すみません。確か自己紹介のときに野球とソフトボールをやっていたとか、言っていた人でしょうか?」

「あ、はい。」

 私は思わず返事をした。

「野球部に入りますか?」

「はいるよー!」

 女性の質問に由紀が元気に答えた。先ほどの赤面や恥ずかしさはどこへいったのやら、切り替えがはやい。そんなポジティブシンキングはどこからでてくるのだろう…。

「よかった!私、野球部のマネージャーをやりたいなって思っているの!私以外に女性で野球部入る人いるかなって心配してたの!」

そう聞いた私は目を丸くした。私と由紀以外にも野球部に入ってくれる人がいるなんて。 しかもマネージャー。私も昨日同じことを考えてた。よかった。

 すでに由紀は飛び上がって、その女性と喜びあっていた。

「そうだ!名前は…」

 由紀がまた大きな声で聞いた。

「あ、ごめんなさい。私、湯野沢真希ゆのざわまきといいます。」

「うちは羽葉由紀、よろしく。」

「私は日高亜弓だよ。よろしくね。」

「よろしくね、由紀さん。亜弓さん。」

「いやいや、さんなんてつけなくていいよ。」

 由紀はテレながら言った。すると真紀は笑顔で言った。

「そしたら…ゆきちゃん?」

「あっ…」

 思わず私は「ちゃん」という言葉に反応して声を出してしまった。そして由紀は私が言ったときと同じように赤面した。

「ち、ちゃんなんてつけないで!はずかしいから!!」

やっぱり照れた。由紀は「ちゃん」と呼ばれるのが恥ずかしい。なぜ照れるのか、私にはよくわからないけど。でもそんなところが「かわいい」。口にだして「かわいい」と言いたいぐらいだが、さらに照れるだろうから言うのはやめておこう。


「おっはよーございまーっす!」

 しばらくするともう一人の女性が教室に入ってきた。

「おはようございます、瞳さん。」

「あっ、まきちゃん!おはよう!」

 その黒いポニーテールの女性と真紀が挨拶する。そして真紀はこっちをむいて女性を指差しながら言った。

「あ、そうだ。この人も野球部のマネージャーやりたいんだって!」

「ほんとう!?」

 また由紀が元気になってその女性に聞いてきた。

「うん!私、森田瞳もりたひとみ、よろしくね!」

「うちは羽葉由紀、よろしく!」

「それとこっちは…」

「私は日高亜弓、よろしくね。」

「よろしくね!由紀ちゃん!亜弓ちゃん!」

「は…うわあぁぁぁ////」

 由紀はあまりの恥ずかしさにプツンと吹っ切れた人形のように赤面しながら座り込んだ。

「えっと…私、何か悪いことした?」

「いや、由紀が恥ずかしがりやさんなだけだと思うよ。」

 私はそう説明した。

「あははっ、まるで頭から湯気が出てるみたいに見えるよ!かわいいねっ!」

 真紀ちゃん、それは不意打ちだよ。

「…………。」

 由紀はあまりの恥ずかしさに何もいえなくなってしまったようだ。その様子は本当に湯気が出てるように見える。

 由紀、撃沈。 南無。


 授業がすべて終わった。いよいよ体験入部の日が来た。しかし、由紀は机に突っ伏している。寝ているわけではないが、授業疲れでこうなってしまったのだ。

「あ~つかれた~。」

 由紀がため息をつきながら言った。私は心配に思って由紀の顔を覗き込んで言った。

「大丈夫? 今日体験入部の日でしょ?」

「おお! 大丈夫だよ!」

「きゃあ!」

 突然大きな声を出したので私は驚いた。

「あ、おどろかせてごめんね!」

 と、由紀はさっきまでの疲れがどこかに飛んでいったかのように元気になって、立ち上がった。私も由紀みたいにすぐに元気になってみたいものだ。

「ゆきさん。私たちは集まる場所が違うからまた後で会いましょう。」

 私と由紀が教室を出ようとしたとき、真紀が手を振っていた。私たちも手をふると真紀のとなりにいた瞳も手をふった。

「おーい、そろそろいくぞ。」

 後ろから伊沢が声をかけた。いよいよ部活動が始まる。

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