第十八話 第三十一部 圧倒的な力
亜弓「正直…どっちが勝つと思う?」
由紀「私が思うには…御影大松戸は勝てる要素がほぼ無い。」
亜弓「ええっ。それじゃあこの試合は富良野学院が勝つ以外無いってこと?」
由紀「うん…。でもね、良い試合にはなりそう。正直、今の富良野学院は誰も止められない。」
桃音「だけど私達を倒した御影大松戸だから…。いかにしてクリーンナップで点を取るかが重要ね。」
暁美「さて…いきますか!」
暁美さんがロージンバックを下に落とすと試合が始まる。上野さんはいつも以上に足場を固めてゆっくりと構えた。これから…試合が始まっていく。
瀧澤「一回! しまっていくぞ!」
桜「っし!」
暁美「ふぅ…。」
暁美さんはセットポジションに入って大きく息を吸う。そして…足を上げる。
直幸「(暁美、お前ならやれるはずだ。きっと…日本を代表する選手になれるはずだ。俺は…夢を実現させるためにいつまでもついていくぞ。そして…叶えてくれ!)」
暁美「っらあ!」
シュゴオ バシン!!
ストライクワン!
上野「(早い。それだけじゃねえ、なんだこのノビと雰囲気は…。)」
「おおおおおお!!!」
球場全体から大きな声が沸き起こった。初球158キロ、それにあの球は速さだけじゃない。きっと…球にこめられた思いも…詰まっているはず!
武蔵「なんだよこの球は…。」
バシーン! ストライクバッターアウト!
バシーン! ストライクバッターアウト!
暁美「ふぅ。」
桜「ツーアウト!」
なんというか…圧倒的すぎる。風きり音が短いぐらいにすぐミットに収まる。それにリリースポイントも良い。こんな投手をどうやって打つというのだろうか。
淳和「(ストレートのノビは亜弓…いや、それ以上と考えて良いかもしれない。なら…あの時の感覚があれば!)」
シュゴオオ ブシン! バシーン!
ストライクワン!
淳和「(くそっ、タイミングが合わない!)」
シュゴオオ ズドン!
ボールワン!
瀧澤「(今の見るのか! 選球眼本当に良いな。)」
ボール一球を見た。いかにも慎重になっている。淳和さんは…どうやって打つのだろうか。
シュゴオオオ ギィン! ガシャン!
ファールボール!
淳和「(当たった…!)」
暁美「(さすがね…。)」
淳和さんがファールだけどバットに当てた…。これなら…いけるのではないだろうか。
暁美「…よし。」
暁美さんが足を上げる。そして踏み込み…。
暁美「ふっ!」
シュルルルル
淳和「なっ!?」
ブシン! バシン!
ストライクバッターアウト!




