第五話 第十七部 由紀打点
米倉「新天! ホームだ!」
米倉が大きく叫ぶと新天はサードベースを蹴ってホームへと突っ込んだ。レフトからは好返球が帰って来た。その間に由紀は一塁ベースを蹴って二塁へといった。
ズサアァバシン!
クロスプレーになった。これは足の方が速いはず。
セーフ!
やった、新天が帰ってきてこれで4点目、4対0だ。しかも由紀は二塁へと到達していた。まだまだチャンスは続いている。
これだけ点数をもらえると投げる方としても楽になる。すごく嬉しい。私もこれだけ援護を貰ったからしっかり投げなければ。
そんな中相手チームはマウンドに選手たちが集まっていた。
坂田「相手の勢いがすごいなあ。」
塚和「ここは打たせてとっていこう。」
牛田「くそっ、俺の球は通用しないのか?」
大島「そんなことはねえよ。ただ、相手のリズムに乗せすぎただけだ。」
飯田「そうだ、ここから押さえれば俺達に流れが来るよ。」
牛田「俺だって全力で投げてるんだぜ? それなのになんた、あのバッターたちは。しかも女子にまで打たれて。女子に抑えられて…。」
新田「大丈夫、設楽だって準備は出来ているから。スタミナが切れるまで全力でなげていいよ。」
塚和「全力で投げさせながら打たせてとる戦法に変えていく。たのむぞ牛田。」
牛田「わかった。」
相手チームの選手がマウンドから離れていった。みんなの目つきががらっと変わっていた。これはさっきよりも厳しくなりそうだ。
次は七番の米倉だ。どうやってせめて行くのだろう。ん? サインを出している。これは何か作戦があるのだろうか。投手が投げる動作に入った。
友亀「ゴー!!」
友亀が声をかけた瞬間、由紀は走った。え!? 三盗!?
シューー コツン
いや、違う。米倉はセフティーバントをサード前に転がした。
塚和「くそっ、牛田! とったらファーストだ!」
ピッチャーは捕球するとサードを見向きもせずにファーストに投げた。
バシン! アウト!!
まずひとつずつアウトをとりにいった。懸命な判断だ。由紀はサードで止まってワンアウト三塁となった。




