第五話 第十六部 クリーンナップと六番
池之宮はゆっくりとホームに戻っていった。これで1点追加、3対0になった。相手も本気を出してきたのだろうが、こっちも勢いがある。このまま点を取れるならどんどんとって欲しいものだ。
池之宮「どうだ海鳳。」
海鳳「恐れ入ったよ。まさかあそこまでふっとばすとは。」
新天「俺も負けていられないな。次は打ってやる。」
そういって新天はバットを持っていった。このクリーンナップはすごく頼りになる。そして六番にも由紀がいる。どこにいっても抜け目のない打線だ。一年生に良い選手が集まって本当によかった。
別の観客席から
真壁「甲子園、いけるやん。」
渡良瀬「なーくん、まだ地区予選も始まってないのにそんなこといわないの。」
真壁「試合みてみろよ。一年生でエース候補といわれている牛田が埼玉の松江学園に打たれているんだぜ。」
渡良瀬「それはそうだけど…。」
真壁「まあ俺が愛知大会で旋風を巻き起こしてやるぜ。」
渡良瀬「かっこいいね。これで負けたら慰めてあげないからね。」
真壁「大丈夫、そんなことないから。」
ギィイーーン!
真壁「ただ、甲子園であのチームと当たったらどうなるか分からないけどな。」
新天の当たりは左中間を抜けていった。一塁を蹴って二塁に到達した。二塁打だ。
海鳳「ナイバッチ!!」
伊沢「勢いにのってるよ! このまま点を取っていこうぜ!」
由紀「それじゃあ私も一点入れてくるね。」
由紀は私にそう言ってバッターボックスに向かっていった。由紀なら1点取ってくれるだろう。私も打てるかな…。
由紀は右バッターボックスに入った。どうやって点を取っていくのだろう。
シュゴーーーバシン!
ボール
初球はインハイに速い球だった。少々あぶない球とも思えたが、これはバッターの心理をつかった戦法だろう。となると次はアウトロー、ライトは前目のライト線よりにいる。一打席目の当たりを警戒しているのだろうか。そして打ったとしてもそこにしか飛ばないと予測しているのだろう。
シューーー
やっぱり外角低めだ!
由紀「よっと。」
キーーーン
塚和「うそっ!?」
由紀は外角の球を無理やりレフトの方へ引っ張った。由紀は相手の作戦を打ち砕いた。サードは当然のごとく、反応が遅れて頭上を軽々と越えてレフトへと落ちた。