第十七話 第七十四部 これからできること
府中「さて…試合も終わったことで宿舎にも戻ったことだし。皆で景気良く食べよう。」
卜部「ああ、ここまで皆で頑張ってきたんだ。」
芦毛「甲子園に出れたことが本当に最高だぜ。」
府中「それじゃあ、乾杯!」
皆「乾杯!」
私達は食事会を始めた。先輩たちを送る甲子園での食事会、でも…私はその場には入られないような…胸が締め付けられたような気がした。私がもっと頑張って投げることができれば…いやだ、ここにいたくない。
由紀「さてと…亜弓。かんぱ……あれ?」
海鳳「日高どこにいったんだ?」
由紀「……ちょっと探してくる。」
亜弓「はぁ……。」
私は河川敷へと移動して草むらに座り込んだ。私は右手を前に突き出す。空は星が点々と光っている。私の力が足りないから…こんなにも大きな差が。私が点を取られずにいたら、あせることなくバッティングに集中できて点を取ることができたかもしれない。もっと点頑張っていれば…。
由紀「ここにいたんだね、亜弓。」
亜弓「由紀…。」
いつの間にか由紀が私の隣に立っていた。風に吹かれて由紀の髪は少しなびいていた。由紀も悲しそうな顔をしている。
由紀「誰も亜弓のことを攻めていないよ。自分を追い詰めなくていいよ。」
亜弓「でも…負けたのは事実だよ…。」
由紀はそれを聞くと私の肩をポンポンと叩いて笑顔になってくれた。
由紀「ならもっと強くなろう。私も思い知ったから…。もっと上手くなって…六実さんの変化球を次こそは打つから…。」
亜弓「うん…そうだよね。頑張るよ。」
私は星空を見上げた。流れ星が一つ流れる。今日の試合は…絶対に無駄にはさせない…。




