第十七話 第七十二部 もっと頑張れば
「ありがとうございました!」
六実「ったあああ!」
淳和「これでベスト8入りだね!」
私達は相手高校の御影大松戸高校の校歌を聞いた後、すぐにスタンド前へと移動した。涙を流しながら皆の顔を見る。先輩たちは泣き崩れていたり、拍手していた。そして…近くにはお母さんとお父さん、そして弟がいた。
府中「ありがとうございました!!」
皆「ありがとうございました!」
私達は今ある力を振り絞って大きな声で挨拶した。そして大きな拍手が沸き起こる。
「いい試合だったぞ!」
「日高! ナイスピッチングだよ! 御疲れ様ー!」
皆が検討をたたえて応援してくれていた。もっと…皆の笑顔を見たかった。
亜弓母「御疲れ様! 感動したわよ!」
亜弓父「自慢の娘だ! 頑張った!」
弟「おねーちゃん! おつかれー!」
家族が大きな声で私の名前を呼んでくれた。私はその声を聞いて涙ながら笑顔で手を振った。…でも、この顔が笑顔の方が良かった。喜んでいる姿を…見たかった。
友亀「日高……キャッチボールだ…。」
亜弓「はい…。」
私はクールダウンのために友亀とキャッチボールを始める。私達が負けるなんて…信じられない…。もとはといえば…私が打たれたから。
府中「日高…ナイスピッチング。誰もお前をせめないさ。次は…負けないピッチングを俺たちにみせてくれ…。」
亜弓「キャプテン……はい…。」
私は涙ながら謝るようにして返事をする。そして…府中先輩の前には三由先輩が…。
府中「ごめんな…もっと甲子園の舞台に立ちたかったよな。」
三由「ううん…。頑張ったよ、見ていてかっこよかった。御疲れ様…。」
府中先輩が三由先輩を抱きしめる。二人は泣きながら思い切り抱きしめている…。先輩たちの夏が終わった…この試合で…。
卜部「イチャイチャうらやましいぞ! さっさと片付けだろ!」
府中「いけねっ。」
芦毛「はやくいくぞ。」
先輩たちは最後までしっかりと役目を果たしていた…。これが…現実というものなのだろうか。




