第五話 第十四部 先制弾は恵美のために。
沖田「日高、調子良いな。」
米倉「これならまだまだ連続三振とれるんじゃないか?」
亜弓「そんなことないよ。これからどうなるかなんて分からないし。」
海鳳「安心しろ、この回でホームラン打ってやるから。」
由紀「恵美先輩のためにでしょ?」
海鳳「ち、ちげえよ!」
そういって海鳳はバッティングの用意を始めた。
四回の表、この回は沖田が先頭バッターだ。沖田ならこの投手を攻略してくれそうだ。しかし相手はエンジンがどんどんかかってきている。早めに攻略しなければ…。
シューーーバシン!
ストライクワン!
やはり球が速くなってきている。これはピッチャーの調子が良くなっている証拠だ。本当に大丈夫だろうか。
ググッ キィーーン!
塚和「なっ!? ライト!」
外角のカーブに逆らわず打った打球はライト前に跳んでいった。
海鳳「ナイスバッティング!」
池之宮「上手いな。」
新天「沖田、ナイス!」
沖田は右手でガッツポーズを取った。
海鳳「よっしゃ! 初球から思いっきり行くぜ!」
そういって海鳳は左バッターボックスに入った。あれ? さっきの打席では右打席に入っていたはず。何故変えたのだろうか。
海鳳「恵美先輩! 見ていてください!」
し、試合中にもかかわらず。しかもバッターボックスに入りながらアピールって、何なんだこのテンションは。
友亀「日高、よく見て置け。」
横で友亀が真剣な表情で言った。何かあるのだろうか。左に変えた理由でもあるのだろうか。
ググググッ
いきなりフォークだ!
カキイィーーーーン!!
亜弓「あっ。」
由紀「うわー。」
友亀「いった。」
打った瞬間ソレとわかる当たりだった。打球は綺麗な放物線を描いてバックスクリーンに直撃した。海鳳はバットを綺麗に投げて走っていった。
恵美「す…すごい。」
千恵美「惚れた?」
恵美「ま、まだよっ!」
亜弓「ナイスバッティング!」
伊沢「すげぇぜ!!」
海鳳はガッツポーズをした。それは嬉しさと…恵美先輩に向けてだった。あの中でも頭の中は恵美先輩で一杯なのか…。すごすぎるよ、海鳳。