第十七話 第五十八部 リラックスの脅威
友亀「(完全に相手のペースになっている。だけど…まだ終わらせはしないさ。必ず一点を取れば崩れるんだ。狙いべきはここしかない!)」
バッターボックスに友亀が入る。私はネクストバッターサークルに入り、六実さんの投球を目を凝らしてみていた。私が返せるなら私だって得点に貢献したい。だから…ここは落ち着いていかないと。
対馬「(さてと、プレッシャーがかなり減ったな。おそらく走ってくるがかまわない。ここは投球集中だ!)」
六実さんはサインに頷きセットポジションに入る。由紀はしっかりとリードをとっている。おそらく走るのだろう。
ダッ
シューーー グッ バシン!
ストライクワン!
友亀「(まず二塁…!)」
ランナーを二塁に行かせてチャンスを広げる。それでも六実さんの顔は真剣そのもの、そして少しリラックスできていた。
シューーー バシン! ボールツー!
友亀「(おそらく次は変化球。チェンジアップだろう。)」
対馬「(チェンジアップ、低めにだ。)」
サインに頷き足を上げる。…勢いがある…!
シュッ
友亀「(予想通り!)」
グググググッ ギィイイン!
友亀「!?」
友亀の打った打球は平凡なサードフライ。配球を読んでいたかのようにも見えたのだけど…まさかさらに遅くなったの?
六実「ふぅ…チェンジアップが有効的に使えた。」
バシン! アウト!
ツーアウト。このチャンスは逃してはいけない…。だから…私が。
由紀「亜弓! リラックスしてね!」
由紀から声をかけてもらう。それでリラックスできる人はどれぐらいいるのだろうか。わたしは由紀の声だけでもリラックスが出来た。
六実「(ふぅ…変化球はあまり見せたくない。後ろに…羽葉がいるから。)」
サインに頷き足をあげる。私はタイミングよく足をあげる。ストレートしかない…私に望みがあるとすれば…!
シュゴォオオ ギィイイン!!
六実「なっ!?」
対馬「センター!!」
由紀「良い当たり! …でもっ!」
打球はセンター前へとライナーで飛んでいく。しかし前進守備をしていたセンターが突っ込んでくる。飛びつくつもりだろうか。
下野「らぁぁあ!」
バシーン! ザザザザザ
アウトー!
下野「しゃあああ!」
上野「ナイス! さすが弟だ!」
武蔵「よっしゃあ!」
まさか…またファインプレーに阻まれるなんて…。これが…甲子園の難しさってものなのだろうか…。




