第十七話 第五十六部 これが監督の野球
新天がバットを握ってバッターボックスに入る。サインをしっかりと見て打席へと入っていく。新天の次は…由紀が控えている。ここでチャンスを広げておきたい所。だけど…池之宮は足が遅い。どうやって…次の塁へと。バントではなく…エンドランか? でもミスしたときの被害が大きすぎることになる。だからここは…新天に託すのだと思う。
芦毛「(ここからが正念場だ。振って、振っていけ!)」
対馬「(相手が考えていることは相当やっかいなことだろう。作戦は何だって考えられる。落ち着いていけば…抑えられるのは分かっている。だけど次のバッターを考えると少し嫌な感じがする。)」
日下部「(ここは本当に勝負をかける所だ。だから強気にいかなきゃいけない。選手を信じていけば結果はだせる。それだけの選手に育て上げたのだから。)」
池之宮もしっかりとリードをとっている。何か考えているのだろうか。だけど六実さんは牽制を送るそぶりを見せていない。いや、そうして牽制を入れていく作戦なのだろうか。
六実「ふっ。」
ダッ
府中「なっ!?」
卜部「まじかよ!?」
六実さんがクイックで投げるそぶりを見せたと同時に池之宮が走り出す。まさか…ヒットエンドラン!?
対馬「(走らせてこれをやるか!?)」
友亀「(バント!?)」
新天がバントの構えをしている。走らせてバントさせる作戦なのだろうか。しっかりと球筋を見てバットの方向を調整している。バントを決めるのだろうか。
コツン
伊勢「(これは…サード間に合わない。)」
サードが全力で走ってボールを捕りにいく。しかしセカンドは池之宮が走っていたおかげで間に合わないだろう。バントが決まった…!
バシン! アウト!
由紀「ナイスバント!! …よし!」




