第十七話 第五十五部 池之宮の安心感
池之宮「ナイスピッチング。次は俺からか…打ってくるよ。」
亜弓「頑張って。」
由紀「ナーイピッ!」
由紀が後ろから私の背中をポンと叩いた。由紀は笑っている。そうか、由紀の打席も回ってくるのか。きっと…由紀なら問題なく打ってくれるだろう。だけど…唯一気になるのはあのカーブ。いや、ドロップというべきか。アレをどう捉えるのかというのが気になる。義手を変えたからきっと打ちやすくはなっていそうだけど…そう簡単には打てなさそう。どうやっていくのだろうか。
対馬「(正直あまり羽葉の打席以外ではあの球は投げられない。きっと…球筋を覚えて打ってくるだろう。だったら…ここは速い変化球で!)」
池之宮がバッターボックスに入る。こういう場面の池之宮は信用していいといわれる。だから…きっと…。
六実「っら!」
シューーーー グッ
池之宮「ふん!」
ギィイイイイン!!
六実「えっ!?」
対馬「ライトー!!」
弾丸ライナーでライトの頭上を越えていく。そのまま伸びて…入って!
淳和「何なのよこの打球は!」
海鳳「入れ!!」
ガシャーーン!!
池之宮「くそっ!」
池之宮の打球はフェンスに思い切り当たり、跳ね返っていく。池之宮の足と淳和さんの肩では。
淳和「っらあああ!!」
シュゴオオオオ バシン!
「オオオオオオ!」
球場が沸く。淳和さんの圧倒的強肩で池之宮は一塁に釘付けになってしまった。あんな送球されたら他の人だって…。相当な肩を持っている。だけどヒットはヒット、次は…新天だ。
新天「(ナイバッチ、池之宮。)」
六実「ふぅ…。まだ、大丈夫。」




