第十七話 第四十四部 あの場所にバットを
私はボールを受け取ると腕をあげてミットめがけて投げる。
シューーー バシン
ボールツー!
対馬「(このチャンスは絶対逃さないぞ。必ずヒットを打ってやるんだ。)」
ここは敬遠が正解だ。逃げるという選択肢ではないけど、これも私たちの勝つための戦略なんだ。
武蔵「(次…いくか!)」
私はサインに頷き、足を上げる。そしてミットに向けて投げようとする。
亜弓「…!?」
勝浦さんから異様な雰囲気が感じられた。私は大きく踏み込んで思い切り投げる。
亜弓「っら!」
シュゴオオオオ
友亀「(ボール球なのに思い切り投げるかよ!)」
勝浦「(間に合え!)」
勝浦さんが腕を伸ばして振りにいく。まさか…当てる気なの!?
勝浦「おらああ!!」
ギィイイン!
由紀「うそでしょ!」
亜弓「えっ!?」
六実「こ、超える!」
打球はサードとショートの頭上を越えそうになる。精一杯追いかけて飛びつこうとする。
新天「おお!」
栗山「とどけっ!」
ドッ
上野「っしゃあ! ナイスバッティング!」
淳和「すごい! これは三塁に…!?」
由紀「させないっ!」
サードランナーがホームベースを踏む。まさかの形で三点目…またとられてしまった。しかし由紀が全力で走って捕ったため、淳和さんがサードに向かわずにセカンドベースで止まった。私もカバーしておかげでこれ以上傷を広げることがなくなった。しかし…点を…とられてはいけない一点を与えてしまった…。




