第十七話 第四十三部 敬遠へ。
友亀「タイムお願いします。」
友亀がタイムをかけて皆を集めた。ランナーが二人出ていてバッターは勝浦さん、そして点を取られているときという最悪の場面。内野に皆が集まって由紀もこっちまでやってくる。皆が声をかけにやってくる。私は…なんて答えればいいのだろうか。私がランナーを出してしまったのが原因でこんな状況を作ってしまった。
友亀「大丈夫だ。負けたわけではない。それに今伝えたいのは次の作戦だ。」
新天「ランナーはいるぞ。ここで打たれたらヤバいからな。」
卜部「だとしたら…。」
友亀「ここは敬遠だ。」
敬遠。勝浦さんとの勝負を避けるということだ。そうでもしないとこの試合、勝つことが出来ない…。
由紀「大丈夫だよ。亜弓なら心配する必要はないよ。」
私たちはそれぞれ声をかけてマウンドから離れていく。敬遠して…勝つために。
友亀「(ここを敬遠して抑えないと勝ち目ないぞ。頼むぞ日高。)」
そして勝浦さんがバッターボックスに入る。ここから…踏ん張りどころだ。
六実「(打たせてくれないかな。)」
サインを出さずに少し中腰になっている。少し速い球で敬遠をしなければ…。
シューーー バシン!
ボールワン!
「えええええ!!」
球場がため息交じりの声が聞こえてくる。そして…ちょっとしたブーイングも聞こえてきた。
勝浦「(仕方ないな。だけど…これ届くのか? やってみるしかない。)」




