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ドクターK少女  作者: レザレナ
第十七話 亜弓対六実 三回戦、御影大松戸高校
615/835

第十七話 第三十七部 球を見ていけば

友亀「しっかりとボールを見ていけ。」

亜弓「分かってます。」

 私は友亀の声を聞いてバッターボックスへと移動していく。目の前には六実さんが気持ちをあらわにして私を見つめている。

亜弓「お願いします…!」

 私はバッターボックスに入るとお辞儀をして構える。六実さんから不思議なオーラが見えている。いや、これはすごい人にしか見えないようなこのオーラ。やっぱり六実さんはすごい。

由紀「亜弓…。ボール良く見てね!」

 由紀からもボールを見るように指示をされた。球筋のクセが分かれば…由紀も打てるのかもしれない。やれることは何でもやってみせる!

六実「(悪いけど…!)」

 ザッ

対馬「(んなバカな。)」

 私はセーフティーの構えをする。これで少しだけでも揺さぶりをかけることができるなら…。

 シュゴオオオオ バシン!

 ボールワン!

六実「(球筋を見にきたわね。)」

 私は初球を見送った。だけど六実さんは笑っていた。これは自分の考えていた作戦が完全にばれてしまったようだった。こうなってしまったらストレートは投げてこない。せっめてものの全てカットはしなければ。

六実「(バレバレよ。そう簡単にやらせないわよ。)」

 六実さんはしっかりとサインを確認するとすぐに腕を振り上げる。次は何が来る。

 シューーーーグッ バシン!

 ボールツー!

対馬「(あれ? これ入ってないか。)」

 カットボール。ギリギリのコースに投げてきた。それだけ集中して投げてきているということだ。だから…私も集中してボールを見なければ…!

 シューーーーグッ バシン!

 ストライクワン!

 ググググッ バシン!

 ストライクツー!

 今度はシンキングファストボール、遅いサークルチェンジと投げてきた。他には…あと三種類あるはず。それをカットしていけば…あの球を投げてくれるはず!

 シュッ グググッ

 ギィン! ガシャン!

 ファールボール!

六実「(あてることはできるのね。ならこれは…!)」

 ググググッ ギィン!

 ファールボール!

 よし、これであとあの球しか投げられなくなった。ドロップ、あの落差のある変化球をもう一度…見せて!

六実「……。」

 六実さんが気合を入れて腕を振り上げる。手はしっかりと握っている。よし…変化球が来る…!

 シュッ シュゴオオオオ

亜弓「(内角高めに…ここか…。)」

 バシーーン!

 ストライクバッターアウト!

六実「っし!!」

 ま…まさかのストレート。一度見せた球をもう一度…ここで投げるなんて。いや、これは私の読み負けだ。

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