第十七話 第二十六部 少しでも甘いと
友亀「四回! しまっていくぞ!」
私たちは四回の表の守備についた。この回の先頭バッターは二番の安芸からだ。私は大きく深呼吸をして前を見る。
安芸「さてと…っしゃっす!」
バッターボックスで大きな声を出して構える。勢いはかなりある見たいだった。私だって…負けられないのだから…!
友亀「(ここは打ち気を狙って初球から片付けるぞ。)」
サインはカットボール。きっとストレートを待っているだろう。そこを狙って投げれば!
亜弓「ふっ!」
シューーーー
安芸「(チャンス!)」
グッ ギィン!
安芸「なっ。」
打球はセカンド真正面へ。卜部先輩はしっかりと準備して捕球体勢に入った。
バシン
卜部「っと。」
バシン アウト!
軽くファーストに投げてアウト、初球からアウトにすることができた。簡単にワンアウト、今は三振は二の次、アウトを優先的に狙っていかなければ。ツーアウトに追い込んだら三振を狙っていけばよい。後はサイン次第。
淳和「よし…六実! 見ていてね!」
次のバッターは…淳和さん。ワンアウトならまだ心配するところはない。でも…ここはランナーとしては出したくない場面。だから…もっと集中していけば…!
シュゴオオオ バシーン!
ストライクワン!
淳和「(タイミングバッチリ。あとは…運がよければ!)」
淳和さんははじめから振る気はなく、しっかりと見てきた。次の球…厳しくいかないと。サインはストレートを低めに。これなら…!
シュゴオオオ
友亀「(少し高いか!?)」
淳和「ここ!」
ギィイイン!
打球はレフト方向へと綺麗に飛んでいく。すこし甘く入ったストレートがタイミングを合わせられて打たれてしまった。
由紀「こっちね。」
由紀はしっかりと捕球して中継に返す。淳和さんにヒットを打たれてワンアウト一塁。この場面であの人が…。
ウグイス嬢「四番、ファースト、勝浦君。」




