第十七話 第二十五部 切り札の変化球
六実「(盗塁はされてもいい。あとは…ここでしっかりと抑えるように投げるだけ。)」
六実さんはバッター勝負をしていた。全くヒットを打たれても動じる様子は見せなかった。
対馬「(次はサークルチェンジで。)」
サインにうなづきセットポジションに入る。府中先輩はものすごい集中力を見せていた。そして足が上がると府中先輩はステップを取る。
シュッ ググググッ
府中「(チェンジアップ? いや、これは違う。)」
ググググッ ギィン ガシャン
ファールボール!
武蔵「(よく耐えたな。)」
亜弓「これでツーストライクだね。」
由紀「あの球投げるよ。しっかりと見ておいてね。」
由紀が声をかけると由紀は集中して六実さんの方を見ていた。何か…投げるのだろうか。まさかあの…。
六実「(これで…終わらせる!)」
シュッ ギュググググ
府中「!?」
ブシィ バシン!
ストライクバッターアウト!
府中「(なんだこれは…高めが思いっきり落ちていった…。)」
府中先輩は空振り三振で終わってしまった。なんというか、力で押されたような勝負だった。力といっても…この実力の力というべきだろうか。あの変化球を打つことなんて至難の業だろう。
亜弓「大丈夫です! 次にいきましょう!」
府中「…あぁ、そうだな。よし、皆気合いれていくぞ! 次はあの四番にも回ってくるからな!」
皆「っしゃあ!」
私たちは声を掛け合って守備に入る準備をした。この回で…勝浦さんにも回ってくる。気合いれていかなければ。




