第十七話 第二十三部 支えがあって
由紀「ナイススイング。でも相手の方が一枚上手だったね。」
亜弓「だね…ふぅ、すこし自信あったんだけど…。」
由紀「そんな簡単な相手じゃないよ…六実さんは。」
シュゴオオオ バシン! ストライクワン
栗山「(かなりきわどいが、これがストライクか。コントロールは化け物だな。それうえ球種が多い。)」
栗山先輩も六実さんの投球を見て驚いている。誰が見てもその投球には驚くべきところがある。それが六実さんの投球でもある。そして…誰もがこの投球に負けてきているんだ。
六実「ふぅ…よし。」
淳和「こっち打たせてもいいよ!」
武蔵「バッチこい!」
周りの皆が支えあって六実さんを助けている。私たちと一緒…いや、どのチームも一緒だ。チームが一人ひとりを支えているからこそ、この投球ができている。私も一人だけの力じゃない。支えられて…後ろにも控えている投手がいて…。勝つために!
シュゴオオオ ギィン!
栗山「くそっ。」
サードへのボテボテゴロ。しかしそれでも全力で一塁へと走っていく。チームのためを思って…思いっきり。
バシン! ズザザザザ
アウト!
栗山「くそっ!」
ツーアウト。それは相手だって同じだった。この連携プレーは仲間意識が高くないとできないものだ。だから…。
六実「ツーアウト!」
対馬「次から打者二順目な! 気合いれていくぞ!」
バッターボックスには卜部先輩。卜部先輩はいつもよりバットを短く持って構えていた。何か…策でもあるのだろうか。
卜部「(府中、俺たちで点をとりにいくぞ。)」
府中「(ああ。)」




