第十七話 第十七部 初球から打っていく!
武蔵「(こいつが遠江が言っていたあいつか…。)」
上野「(雰囲気からして普通のバッターじゃないことはわかる。)」
対馬「(初球から厳しい球で行かないと打たれるな。だがそう簡単にあの球を投げさせるわけには行かないな。)」
六実「ふぅ…。いよいよね。」
六実さんはかなり厳しい表情で由紀の顔を見た。由紀は右バッターボックスに入って大きなスタンスで構え始めた。
由紀「(あの球に手を出したい所だけど…今は初球から打ちに行く。)」
由紀が構え終わるとすごい集中力で待っている。ベンチから見ている私からもその雰囲気が伝わってきた。オーラ的なものが湧き出ているように…。それは六実さんにも見えていた。お互いに本気で戦うという気持ちがあふれていた。
六実「(初球はストレートで勝負して…どんなバッターかを見てみなきゃ。)」
六実さんはゆっくりと振りかぶる。そしていつものフォームで投げる。
六実「っし。」
シュゴオオオ
由紀「(内角低め。ここなら持っていける!)」
ギィイイン!
伊勢「なっ!?」
シューー
新天「抜けた!」
海鳳「走れ! 二塁行ける!」
いきなり由紀が内角低めの球を引っ張ってサードの頭を超えていった。六実さんの様子もえっとした顔をしている。由紀は全力疾走で一塁ベースを蹴った。
日向「あいつ…速い!」
由紀「(セカンドは間に合う!)」
ズザザザザ セーフ!
由紀「っし!」
由紀がセカンドベースに到着すると同時にガッツポーズをとった。それと同時に私たちの応援席が大きく盛り上がる。由紀の人気とこの信頼感はとても大きなものだ。とにかくこれでツーアウトランナー二塁へと変わっていった。
由紀「へへっ!」
そして由紀は私の方を向いてグッジョブポーズをとった。私もそれに答えるようにグッジョブポーズをとった。そして次はキャッチャーの友亀がバッターボックスに入った。




