第十七話 第十六部 無難に抑える
池之宮「っしゃっす。」
池之宮がバッターボックスに入る。六実さんは深呼吸をしてマウンドにたっていた。立っているだけでもこの雰囲気、やっぱり普通じゃない。
池之宮「(こういうバッターを待っていたんだよな。)」
対馬「(こいつには変化球投げておけば怖いことは無い。)」
六実さんは余裕そうな表情で振りかぶる。この表情の様子なら池之宮も簡単にアウトをとられてしまうかもしれない。
シューーー グッ ブシィ バシン!
ストライクワン!
池之宮「(ちっ。)」
やっぱり、厳しいコースで変化球を投げてきた。相手の弱点を的確についてそこで抑える。さすがというべきか、これが六実さんの投球術なのだろう。
グググッ バシン!
グググッ ブシィ バシン
ストライクバッターアウト!
池之宮「くそっ。(全部緩急の違う変化球かよ。)」
新天「ドンマイ。そういう時もあるよ。」
ワンアウトになって今度は新天がバッターボックスに入る。新天も落ち着いた様子だった。
対馬「(こいつは絶対に出したくないな。次の打者が…あの人だからな。さてと、どう抑えるべきか。)」
六実「(力んじゃダメ。落ち着いてなげよう。)」
ピッチャーの六実さんがまた振りかぶって投げる。この余裕はどこから出るのだろうか。
シュゴオオオ ギィイン!!
新天「(ライト…落ちるか?)」
六実「淳和!」
打球はライト前への小フライになった。ぎりぎり落ちるか捕られるかの位置。しかしライトの淳和さんも思いっきり走っている。
淳和「っと!」
バシン! アウト!
武蔵「(ナイスライト!)」
六実「ありがとう淳和!」
淳和「へへっ。ツーアウト!」
淳和さんのランニングキャッチ。その足の速さを利用して飛び込まずに捕球した。さすがにあの守備はすごい。ライトを守っているだけある。ツーアウトになったけど次は…。
ウグイス嬢「六番、レフト、羽葉由紀。」
「羽葉ぁあああ!!! 絶対打てよ!!」
由紀「っしょっと! お願いします!」
由紀は審判にお辞儀をしてバッターボックスに入った。六実さんの表情が一気に変わる。いよいよ由紀と六実さんの対決だ。




