第十七話 第十一部 ものすごい変化球
ウグイス嬢「三番、センター、海鳳君。」
海鳳「っしゃ!」
海鳳は声を出して気合を入れた。そしてバッターボックスは右側に立った。そして最初からあの構え、必ず打ちに行く体勢を取った。
対馬「(こいつのセンスはかなり高いものをもっている。慎重にいかなければ。)」
サインにうなづいた六実さんは足をあげて投げる。
シューーー グッ バシン!
ボールワン!
対馬「惜しいよ惜しいよ! 次入れていこう!」
海鳳「(さすがのコントロールだな、意図的にギリギリボールになる球を投げてきやがった。簡単に打たせないつもりか。)」
シューーー ギィン! ガシャン!
ファールボール!
二球目は振っていき、真後ろへと飛んでいくファールボール。ワンストライクワンボールのカウントになる。六実さんも集中してしている様子だった。簡単に打たせるわけにもいかないのは向こうだって同じはず…!
対馬「(ここで使おう…!)」
サインにうなづき六実さんが足を上げる。
六実「ふっ。」
シュッ
海鳳「(なっ!?)」
由紀「えっ!」
ギュルルル ブシィ バシン!
ストライクツー!
な、何今の変化球…。あんな曲がり方をする変化球はいままで見たこと無い。カーブ? にしてはものすごい曲がっている。球速もカーブほど遅いわけではない。スライダー? いや、別のものだ。
海鳳「(カーブ? にしては落ちたな。鋭く落ちて…ドロップカーブか? それも球速の速い…すげえ!)」
海鳳は嬉しそうにまたバッターボックスで構える。それは海鳳だけではない。由紀もワクワクしながら見ている。早く打ちたくてたまらない。そんな気持ちがこみ上げているのが分かった。
対馬「(最後はストレートで!)」
シューーーー
海鳳「(今打てるのはこれぐらいか…!)」
ギィイイン!
池之宮「上げすぎだ!」
六実「センター!」
海鳳「ちぃっ!」
打球はセンターの方へ高いフライ。ゆっくりと手を上げて捕球体勢に入った。
バシン! アウト!
対馬「ナイスセンター!」
淳和「ナイスピッチング!」
こっちも三者凡退でスリーアウトチェンジになってしまった。私は深呼吸をしてグラブを叩いた。マウンドへ向かうと共にベンチを見る。次のバッターは…高校三大バッターの一人、勝浦武蔵さんとの…対決だ…!




