第十七話 第九部 初球打ち
淳和「お願いします。」
淳和さんは丁寧に挨拶をすると、バッターボックスでしっかりと足場を作り、構えた。淳和さんとの…初対決。やっぱり雰囲気がある。
友亀「(やけに集中しているな。まあストレート投げさせれば関係ないか。)」
サインはストレート。内角低めに要求している。私は振りかぶり、しっかりと体のバランスを支えながら…!
亜弓「っらあ!」
シュゴオオオオ
淳和「(タイミングは早めに! って伸びる!?)」
ギィイイン!
亜弓「えっ!?」
友亀「ライト!!」
打球は勢い良くライナーでライト方向へ。まさか初球から…ストレートを打たれるなんて。全く考えてもなかった。私のストレートが…!
バシン! アウト!
府中「あの人すごいな…。ナイスピッチング!」
由紀「いいよ! 抑えたよ!」
ライト真正面のライナーで結果的にはアウトになり、スリーアウトチェンジになった。私は走ってマウンドから降りていくと由紀が近くに寄ってきた。
由紀「ナイスピッチング! 打たれたのは仕方ないよ。やっぱり今日の相手は違う。でも亜弓なら抑えられるよ!」
亜弓「由紀…ありがとう。」
私は由紀とハイタッチしてベンチへ入った。三由さんが飲み物を用意して待ってくれていた。
三由「よかったよ。」
亜弓「ありがとうございます。」
バシーン!
私が飲み物を飲んでいると、向こう側で良いミットの音が聞こえてきた。六実さんが…投げているのかな。
対馬「っしゃあ! こっちもしまっていくぞ!」
キャッチャーの声でこちらの攻撃が始まる。先頭バッターは卜部先輩。できるだけ多くの情報が欲しい…。
対馬「(初球はここに。)」
六実さんはサインにうなづくと腕を振りかぶらず、胸の辺りで止める。そして足を少し高くあげて投げ出す。オーバースロー…!
シューーー バシン!
ストライクワン!
芦毛「!!」
卜部「(おいおい、めっちゃくちゃ厳しいところ投げるじゃないか。)」
低めギリギリが入った。偶然じゃない、ミットは全く動かさずに投げていた。このコントロールは…前の試合の松本投手の比にならないぐらいのレベルだ!




