第十六話 第十九部 俺たちが打つ
芦毛「ドンマイドンマイ!」
府中「すまない。次は打ってやるからな。」
芦毛「ああ、頼むぜ。」
卜部「しゃあ! こっからだ! 気合入れていこう!」
先輩たちの声でチームの活気が沸いてきた。相手選手もこの点をとったことによって力強さがあった。だから私たちは一点も取らせない作戦で行かなければならない。そうでないとあの守備と松本投手の勢いが増してしまう。でもこれができるのは芦毛先輩しかいない。
バシーン! ストライクワン!
松本「やるな…あの雨の中、スクリューをポンポンと投げて…勢いがある。あの体力には勝てねえよ…。でも試合には…勝つ!」
ギィン!
卜部「っしゃ! オーライ!」
バシン! アウトー!
ギィン!
府中「サード!」
新天「よっと!」
バシン! アウトー!
バシーン! ストライクバッターアウト!
芦毛「っしゃああ!」
守備で気合を入れた私たちは勢いにのったまま三者凡退で七回の表の攻撃をしのいだ。相手に体力を回復させる暇を与えないために気合を入れることにしていた。そして次は…海鳳からのクリーンナップの打順だ。ここでヒットを打っておけば…この後の展開も楽になってくる…!
松本「大嶺。この試合、どんだけ疲れていても俺は投げきる。よろしく頼む。」
大嶺「お前が望んでいた試合が叶ったんだ。最高の形で終わらせてやるよ!」
しかし気合を入れているのは私たちだけじゃない。この相手チームも勝つためにここまでやってきたんだ。その意地と意地のぶつかり合いが…この試合にかかっている!
海鳳「芦毛先輩。俺たちが打ってきます!」
池之宮「俺たち一年生がこの舞台に立てているんです。だから先輩の期待には答えて見せます!」
新天「一年生クリーンナップのすごさを見せてあげます!」
芦毛「心強いぜ。ありがとう!」
クリーンナップの三人は気合を入れて準備をした。そして海鳳がバッターボックスに入る。
恵美「海鳳! ヒット打たなかったら怒るからね!」
千恵美「怒るのね。」
海鳳「っしゃあ!! まかせろおおおお!!」
海鳳が恵美先輩の声を聞いて手を振っていた。そして気合を入れて構える。
大嶺「(これで奴はホームランを打っている。初球から変化球だ。)」
サインにうなづき、松本投手が投げる。
シューーーー グッ
海鳳「(そうこなくちゃ!)」
ギィイイン!
安川「(打球速っ!)」
ドッ!
海鳳「っしゃああ!!」
海鳳が声をあげてヒットを打った。センターへの強烈なヒットはこの回で点を取るという気持ちがあらわになったヒットだった。




