第十六話 第十六部 点差を追いかけて
バシーン! ストライクバッターアウト!
芦毛「っし。」
芦毛先輩はすぐに立て直して後続を抑えていった。しかしここで一点が入ってしまった。松本投手から最低でも二点取らなければ勝つことはできない。しかもまた追加点が入ってしまう可能性もある。早く点を取っていかなければ。こっちは七番の栗山の出番がやってきた。下位打線だが狙えるチャンスはある。ここでまずヒットを打たなければ。
栗山「(ここからなんとかつなげていかなければ…!)」
松本「(下位打線か…だとしても気は抜けねえ。アイツの学校だからな! 雨も強くなってきたから速めに片付けなければ!)」
シューーー バシン!
ボールワン!
栗山「(俺の足なら…これで勝負だ!)」
シューーー
卜部「セーフティー!」
ギン
大嶺「サード! 突っ込んで捕れ!」
突然のバントにサードが勢いよくダッシュした。栗山先輩のバントは上手く決まり、スタートダッシュも綺麗に切れた。しかし守備が堅いのか、すぐに捕ってファーストに投げる。
加藤「ファースト!」
栗山「っらあ!」
栗山先輩が必死に走る。そしてファーストベースに向かってヘッドスライディングする。
バシン! セーフ!
栗山「よっしゃ!」
府中「ナイスバント!」
栗山先輩のセーフティーバントが決まった。これでノーアウトランナー一塁。八番バッターの芦毛先輩が入っていった。
松本「(ヒット打たれたか…だがここで終わりはしないさ!)」
相手投手も諦めてはいなかった。しかし芦毛先輩だって諦めていない。ここまできたのだから芦毛先輩だって諦めていないはず。ここでヒットを打つかどうかでも大きく変わってくる。芦毛先輩、頑張って!
松本「(俺は…お前に勝つためにここまでやってきたんだ!)」
芦毛「(俺だって…負けるわけにはいかないんだ!)」
シューーー ギィイン!
バチン!
松本「ちっ!」
海鳳「抜けた!!」
打球はピッチャーのグローブの先をはじき、勢いを殺されたがそのままセンター前へと転がっていった。芦毛先輩のヒットでノーアウト一二塁、チャンスが広がっていった。




