第十六話 第七部 あえての勝負
寺西「(普通に戦っても簡単に打たせてくれなさそうだ。狙うべきは…ストレートか? いや、とにかくその場の確認でどうするか決めていくか。)」
三番の寺西がバッターボックスに入る。なんというか、相当雰囲気がある。そこらへんのバッターとは違う、確実にとらえたら飛んでいかれそうなぐらいだ。
府中「(でかいな。低目を狙っていけばよいかな?)」
サインにうなづいて芦毛先輩が足を上げ、踏み込んでいった。
シューーー ギィイン!
新天「うわっと!」
ガシャン! ファールボール!
あの低目を簡単に引っ張って飛ばしていった。相当パワーがあって低めもしっかり狙えるほどのバッターなのか。この低目を狙うバッターはどうやって抑えていくのだろうか。
新天「(いま確実に俺の反応が遅れていた、なんだこのスイングは。)」
芦毛先輩はサインにうなづいて再び投げる。
ググググッ ギィーン!
ガシャン! ファールボール!
しかし芦毛先輩はあえて低目を投げる。そうでなければ自分の成長した証がみせられないというわけだろう。芦毛先輩はまたサインにうなづいて足をあげる。
寺西「(スクリューが来るな。低めなら打てる。さあこい!)」
シュルルルル ブン! バシン!
ストライクバッターアウト!
寺西「なにっ!?」
府中「ナイスピッチング!」
芦毛「ふぅ。」
芦毛先輩は今度は吼えずにグローブを叩いてマウンドを降りていった。一回は三者凡退でしっかりと抑えてきた。
日下部「ナイスピッチング。この調子でいくぞ。」
芦毛「ありがとうございます。」
芦毛先輩のピッチングは相当調子がよかった。今まで練習と試合を見てきたけれど、今日が一番調子が良いかもしれない。相当な気迫が見える。
府中「さて、これだけの好投手だ。どう攻略していくか。」
ベンチの皆が相手投手を見る。松本投手が振りかぶってなげる。
シューー バシーン!
大嶺「ナイスボール!」
圧倒的なコントロールが持ち味だと聞くけど、相当ストレートもキレている。さすがプロから注目される投手なだけある。どんなピッチングを見せてくれるのか、期待が高まる。
卜部「よし、いってくるぞ。」
卜部先輩が先頭バッター、きっと良い結果を残してくれるだろう。頑張ってください!




