第十六話 第四部 次の相手は
芦毛「おかえり! どうだった?」
亜弓「えっと…なんか力の差を見せ付けられた気がしました。やはり相当強いです。同じ高校生とは思えないぐらい…。」
由紀「でも勝てないことはないと思います。私なら打って見せます。」
由紀の力強い言葉に待っていた人たちは少し安心した顔をみせてくれた。そして府中先輩もやってきた。
府中「まあ今は目の前の試合をこなすだけだな。次は大龍鳥高校だから…楽しみだな。」
亜弓「そういえば…大龍鳥の松本って投手がたしかライバルなのでしたっけ?」
芦毛「ああ、そうだ。」
由紀「最後に投げあった日はどっちが勝ったのですか?」
そういうと芦毛先輩は外を見上げるように廊下に出た。そして大きくため息をつく。
芦毛「引き分け再試合さ。次の日はお互いに投げなかったからな。」
府中「そうだったのか。なんだか…大変だな。」
芦毛「結局チームとしては俺たちが勝った。けど勝負は終わってなかったんだ。だから本当に嬉しいのさ。明日は俺の晴れ舞台だ、皆盛り上げてくれよ。」
卜部「なら俺だって手伝ってやるさ。三年生の意地をみせてやるよ。」
府中「俺だってやってみせるさ。」
三年生の先輩たちが自信持った顔で芦毛先輩の方をポンポンと叩いた。三人の姿がとても力強そうに見えた。
海鳳「うへ、うへへへ。」
後ろで海鳳が何か座りながら妄想していた。いったい何を考えているのだろうか。そしてにやけ顔がさらにニヤけついた。
海鳳「恵美先輩と付き合う…ぐへへへ。」
き、気持ち悪い。でも…これが付き合うことになるなんて。これこそ信じられないような出来事だ。




