第十六話 第二部 化け物ばかり
私と由紀は甲子園球場に到着すると指定されたチケットを係員の人に渡して階段を上がっていった。富良野学院高校(北北海道)対東上高校(西東京)の試合となっている今日の試合。もう試合は始まっているはず。いったいどんな試合展開になっているのだろうか。
由紀「おーやってるやってる。でも…私たちこんな良い席でよかったのかな?」
私たちに渡されていたチケットは一塁側寄りのバックネット近くの席だった。一塁側といったら富良野学院側だった。そして点差は…まだ0対0、しかし三回の表、満塁のチャンスでバッターは桜先輩だった。
亜弓「丁度良いところで到着したね。」
由紀「早くしっかりと見ないと。」
私と由紀はすぐに席を見つけて座った。ワンストライクワンボール、桜先輩はバットを横に振って構えていた。
シューーー
桜「(この球!)」
キィーーン!!
亜弓「おおお…!」
右打席に入っていた桜先輩がライト方向に大きな打球を飛ばした。そしてグングンと伸びていく…。
ポーン
おぉおおおおお!!!
球場が一気に沸いた。流しであんなに飛ばしていくなんて…なんて技術力とパワーなんだろうか。由紀はそのバッティングを見て目をキラキラさせていた。
由紀「すごいあのバッティング。体の力をすべてバットに伝えている。さすがのバッティングだよ、甲子園四連覇しているだけある。」
悠々と桜先輩がベースを踏んでホームイン。グランドスラムで一気に先取点として4点を入れた。そして四番の暁美へと続いていく。
由紀「たしか暁美先輩ってバッティングも良かったよね。」
亜弓「うん、投げるだけじゃなくてバッティングも…。」
ギィイイイイイン!!!
亜弓「あっ。」
由紀「いった。」
打球はカンペキな当たりでレフト方向へと伸びていく。そして力強いノビのまま中段まで運んでいった。
暁美「っし!!」
この人たちは…化け物ばかりだ。




