第十六話 第一部 次の先発は…。
亜弓「ふぅ…今日もけっこう疲れたね。」
由紀「そうだね。次は登板ないと思うけど、いつでも出れるように準備だけはしておいてね。」
亜弓「そうだね、頑張るよ。」
府中「いよいよだな。」
芦毛「ああ。あいつとの投げあい…中学三年の時以来だな。」
卜部「そっか。その時に投げ合っていたのか。それに近くの家だったらしいじゃん。そりゃライバル心燃やすよな。」
芦毛「もうここまできたんだ。甲子園で戦うって約束は果たした。後は…勝つだけ!」
そっか、もうそろそろ二試合目が始まる。そしてそこで投げるのは…芦毛先輩。相手チームは宮城県代表の大龍鳥高校。そこの投手といったら…。松本選手だっけ。あのプロも注目しているエース。そして安川という猛一人注目の選手がいたはず。一筋縄ではいかない強豪校だ。
日下部「集合!!」
監督の声で私たちは集まった。おそらく二試合目に向けての話だろう。大きく監督がパンッと手をたたいて気合を入れていた。
日下部「さて…次の試合の相手も決まってそろそろ二試合目だ。先発は…芦毛、任せたぞ。」
芦毛「はいっ!」
やっぱり芦毛先輩だった。それだけ期待されていることだろう。
日下部「そしてライトには…中山!」
中山「はいっ!」
日下部「それと…沖田!」
沖田「は、はい!」
日下部「レフト、守れるか?」
沖田「大丈夫です!」
日下部「よし、レフトは任せた。」
大躍進だ。沖田がレフトでスタメン出場。これは大きなビックチャンスというべきだろう。でも…何故由紀が選ばれなかったのだろうか。
深沢「知っての通り、絶好調だった羽葉がスタメンからはずしている。これは監督の意図だ。」
日下部「羽葉。必ず大きなチャンスが来たとき、あるいはチャンスを作って欲しいとき。代打で出すつもりだ。準備しておけ!」
由紀「はい!!」
由紀の力強い声が聞こえてきた。由紀はスタメンを外れてもしっかりと仕事をこなすつもりで返答していた。そして私たちは練習を終え、解散した。
日下部「そうだ! 日高! 羽葉!」
亜弓「は、はい!」
日下部「いい機会だ。明日の富良野学院戦の試合。見に行ってこい。」
亜弓「……えっ!?」




