第十五話 第四十六部 私の仕事は…。
友亀「次は俺からか…。」
亜弓「あ、私打撃…。」
館川「打撃は代打が出るはずだ。ほら、中山先輩がバッターボックスに向かっていくから。」
私はバッターボックスを見ると中山先輩がバッターボックスに入っているのを見た。私はほっと一息ついてベンチにゆっくり座った。そして由紀が飲み物を持って、三由先輩がアイシング用のサポーターとタオルを持ってきてくれた。
由紀「お疲れ様。ゆっくりやすんで。」
亜弓「ありがとう由紀。この後は任せるよ。」
由紀「もう一本ヒット打ってくるよ!!」
三由「あ、そうだ。着替えてきて。ベンチ裏なら着替える場所あるから。そうじゃないと汗で風邪引いちゃうから。」
亜弓「わかった。ちょっといってくる。」
私は着替えをするためにベンチ裏の更衣室に移動していった。一人静かな部屋で私は上着を脱いだ。…やったんだ。最後のは悔しかったけど…ここで投げることができたんだ。先輩たちに貢献できただろうか…。女性選手に恥じない活躍ができただろうか…。私なりには納得できるピッチングだった。だからといって楽観的な考えばかりはいけない。いくらでも修正点はある。だから…もっと強くなりたい!
亜弓「ただいまです。」
三由「おかえり。今からアイシングするからね。」
私が着替えている間に私たちの攻撃は終わってしまった。簡単にスリーアウトになってしまっていた。私は三由先輩にアイシングの道具を付けてもらっている。そしてアナウンスが聞こえてきた。
ウグイス嬢「選手の交代をお知らせします。ライトの府中君がキャッチャー、キャッチャーの友亀に代わりましてライト、沖田君。ショートの栗山君に代わりまして、米倉君。ピッチャーの日高亜弓に変わりまして、ピッチャー、館川君。」
館川の名前がコールされると大きな声援が聞こえてきた。それは館川に対しての声援だった。一年生二人がここで投げるのは本当にすごいことなんだ。そして…芦毛先輩が一番戦いたいと思っている相手と投げあいをするために今日、必ず勝たなきゃいけない。負けてしまえば三年生は…引退なんだ。
「お疲れ!! 日高!!!」
私の名前も呼ばれていた。私は立ち上がってベンチの外に出た。そして私の顔が見えたとき、大きな声援が聞こえてきた。…私は…頑張れたんだ。この甲子園で。
館川「よっしゃ、いくか!」
府中「お前の力を最大限に発揮すれば必ず勝てる。思いっきりいけよ!」
館川「はい! リード頼みます!」
館川も気合を入れてマウンドに立っている。そして…その喜びをしっかりとかみ締めていた。




