第十五話 第四十三部 仲間の助け
池之宮「落ち着いていこうぜ。」
友亀「お前ならいける。怖くないだろ?」
亜弓「怖くないよ。負けてないから。でもちょっと流れは向こうに持ってかれちゃったね。」
卜部「それなら取り戻せばいいだけさ。」
栗山「後ろは任せておけよ。」
新天「全力投球でいこう! それの方が守っている方としても安心する。甲子園だから強い相手がいるのは当たり前だよ。だとしても向かっていこう。」
皆が声を掛け合ってくれる。監督の目を見てもがんばれと伝えてくれているようだった。そして遠いのにもかかわらず由紀もマウンドに来てくれた。
由紀「なに打たれてるのよー。」
そんなことを言いながら私のほっぺをプニプニしてくる。由紀だから笑って言ってくれている。冗談なのも分かってる。
亜弓「ごめんね。」
由紀「いいのいいの。でも私は亜弓が打たれている所は見たくない。だから…思いっきりいって!」
亜弓「ありがとう。」
由紀が肩をポンポンと叩いて守備に戻った。これなら心配ない、私はまだ投げられる。
府中「こっちに打たせてこいよ! 次はとってやる!」
海鳳「こっちでもいいぞ!」
私はグローブをパンと叩いて気合を入れた。そして五番バッターの横倉がバッターボックスに入った。
永瀬「打ったのになかなか崩れないな。」
久保「打ちやすくなったのは確かだ。あの投手のメンタルは…皆に支えられているものだと思う。信頼があってこそ力強さを発揮してるな。」
永瀬「まあ見た感じで分かるよ。ものすごく闘志にあふれている。だけど…崩してしまえば一瞬で崩れてしまいそうだな。あと一本が欲しい。」
私はサードランナーを気にしながら足を上げる。まだ…三点もある。されど三点、もう点はやりたくない。だから思いっきり投げる!
シュゴオオオオ
横倉「っらぁ!」
ギィイイン!
打球はファールグランドへと飛んでいくフライになった。サードが追いかけるがおいつか無そうだ。
由紀「(捕れる!)」
由紀がダッシュで落下点へと向かっていく。そして思いっきり飛んだ。
バシン! アウト!!
「うぉおおおお!!!」
瞳「すごいすごい!!」
真希「ナイスキャッチ!!」
由紀のファインプレーで一つのアウトをとることができた。本当に由紀様々だ。
亜弓「由紀! ナイキャッチ!」
由紀「イエーイ!!」
横倉「すげぇな。」




