第十五話 第四十一部 長打を打たれて
久保「(こいつを打ち崩すには…ストレートを打つしかない。しかしそのストレートはかなり厳しいものがある。まず落ち着いて…一つずつ打っていこう。)」
相手バッターがバットをゆっくり振って落ち着いていた。ランナーは一塁に一人、落ち着いていけば大丈夫。
友亀「(初球、スラーブからいくぞ。変化球でカウントを稼げるかどうか確認だ。)」
友亀からのサインは変化球。ここでストライクが入らないと厳しいということかな…。だとしても思いっきり投げることは忘れずに…外角へ!!
シューー
久保「(いきなり着た! これを逃したらもう無い!)」
ギィイイイン!!
友亀「(打たれた!?)ショート!!」
打球は力強くショートの頭上を越えていこうとしている。ショートの栗山先輩がジャンプする。
栗山「ぐっ!」
ドッ フェア!!
久保「っしゃああ!!」
ヒットを許してしまった。それも長打になりそうだ。一塁ランナーが三塁に向かって走っていく。海鳳がボールを捕球した。
由紀「サードは間に合わない! セカンドベースになげて!」
海鳳「わかった!」
海鳳がセカンドベースに向かって投げた。カバーには卜部先輩が入っている。そのおかげでバッターランナーはセカンドまで進まずにすんだ。長打を許してしまい、これでノーアウトランナー一三塁になってしまった。そしてここで四番、緒方が入ってきた。完全に相手のペースになってしまった。
緒方「(ここで決めなきゃいけねぇ、打たなきゃいけないんだ!)」
友亀「(変化球狙われているな。…ならストレートで抑えていくしかない。)」
私は大きく深呼吸してバッターを見た。どっしりと構えている。でも…私だって負けられないんだ。サインは…ストレート、高めでも良いから思いっきり…。セットに入って…ランナーを見て。
シュッ
池之宮「走った!」
一塁ランナーが走った。
シュゴオオオ バシン! ストライクワン!
友亀「(セカンドは…間に合わない! ならこれを!)」
友亀がボールを握ってセカンドに投げようとする。するとサードランナーが突っ込む準備をしていた。このままじゃ!
シュッ
亜弓「えっ!?」
友亀は投げた。しかしそれはただ上にふわっと上げた球だった。サードランナーは驚いて戻ろうとする。そして友亀が素手でボールをつかむ。
パシン シューーー
新天「ットオ!」
きわどいタイミング、これはアウトか? セーフか?
審判「セーフ!!」
ギリギリセーフになった。しかしこれでプレッシャーをかけることができた。ノーアウト二三塁、ワンストライクになった。




