第十五話 第四十部 ここからが踏ん張りどころ
池之宮「上げすぎた…。」
新天「仕方ない。相手の投手もそれだけ気合が入っているってことだ。俺も気合いれていかないとな。」
次のバッターは五番の新天、まだチャンスは残っている。ワンヒットで一点は必ず返してくれるだろう。新天も気合の入った構えをしている。
緒方「(こいつは変化球で攻めていくぞ。)」
ググググッ バシン
ストライクワン!
新天「変化球か。俺だって変化球打ちを練習してきたんだ。ここで決めてやる!」
私が応援席で見ていると由紀が私の肩をポンと叩いてきた。
亜弓「どうしたの?」
由紀「疲れてるでしょ? だとしても亜弓の武器は全力投球だからね。自信を持っていけば結果はでるよ。」
亜弓「うん、わかっているよ。思いっきりなげてこの試合勝ってみせる。」
ギィイイン!
会話している間に金属音が聞こえた。打球はレフトに大きな当たり。しかし定位置より後ろで守っていたレフトは落下点に入っていった。
バシン! アウト!!
永瀬「っしゃああ!!」
相手投手は大きな声をだしてガッツポーズをとった。相当気合が入っている。そしてこの流れ、相手はもっと私の球をとらえてくるだろう。だけどこの点差、そしてここまでの成績のことを考えるとまだまだいける。だから…思いっきりなげて抑える!
友亀「リードは任せろ。」
友亀はバシンとグローブを叩いて座った。後ろも気合を入れて守っている。私も…それに答えたい!
井上「緒方、お前の前に必ず塁に出てやるからな。」
緒方「よし、頼むぞ。」
七回の裏、相手チームの攻撃は二番の井上からだった。私は相手バッターを見つめてみた。かなり気合が入っている。なら私も…気合を入れてストレートを…投げ込むっ!
シュゴオオオ バシーン!
ボールワン!
友亀「いいよ、良いコースに来てるよ!」
初球は外角に外れてボール。次も外角へのストレート。あのミットめがけて!
シュゴオオオ バシーン!
ボールツー!
府中「大丈夫だ! 塁に出してもかまわない! 思いっきり投げることは忘れるな。」
味方から全力で投げるように指示を出されている。私も答えないわけにもいかない。それに…全力で投げると気持ちいいから!
シュゴオオ バシーン!
ボールスリー!
由紀「(疲れが来ている。踏ん張って、亜弓。)」
三球連続でボール球。こうなるとボールは投げられない。でも…全力投球のサイン。あのミットめがけて!
シュゴオオオ
井上「(これは入るっ!)」
ギィン! ガシャン!
ファールボール!!
カットでファールボールになった。私はボールを受け取るとまたサインを見た。次は…カットボール。ここまでストレートを見せてきたからここで変化球を…。内角に!
シューーー グッ バシーン!
ボールファー!
井上「っしゃ!!」
友亀「(コレが入らないか。)ドンマイドンマイ! 次に切り替えていこう!」
入ったと思った球がボールになってしまい、ファーボールにしてしまった。だけど一人ランナーが出ただけ…ノーアウトからのランナー、意識してもしなくても、バッターには思いっきり投げないと。
久保「しゃあぁあ!!」
三番の久保が気合を入れてバッターボックスに入る。敵の応援席からもものすごい声援が聞こえてくる。ここがチャンスだと思っているのだろう。抑えたい…ここを抑えて次のピッチャーにつなげたい!




