第十五話 第三十七部 終盤に入って
由紀「ナイスピッチング!」
亜弓「ありがとう。次は由紀が先頭バッターだね。またヒット打ってね!」
由紀「もちろんだよ!」
由紀はヘルメットをかぶってバッティングの準備を始めた。ここから終盤に入っていく。この回は先頭バッターの由紀からの打撃だ。由紀ならまたヒットを打ってくれるだろう。追加点が期待できる所だからもう一点取って欲しいものだ。
由紀「(こういうバッターは得意なんだよね。)」
由紀はバットをフリフリと動かして打撃の準備をしていた。相手投手はかなり意識をしている。そして外野もそれなりの守備をしてきた。由紀なら心配なくヒットにしてくれるだろう。
渡部「(とにかくくさい所だ。そこをついていかないと打たれる。)」
緒方「(ここだ、低めにこい。)」
相手投手が足を上げると由紀は足をあげる。
シュッ グググッ
由紀「(このコースなら!)」
ギィイン!
おっつけたバッティングはレフト前へ。しかしレフトが猛ダッシュで突っ込んできた。
佐島「らぁああ!!」
バシン! ズザザザ
アウト!!
横倉「ナイスレフト!!」
渡部「センキュ!!」
ファインプレーでアウトになってしまった。由紀は残念そうにベンチへと戻ってきた。私は声をかけに立ち上がった。
亜弓「ドンマイ。そういう時もあるよ。」
由紀「ありがとう。あれは仕方ないよ。でも次は府中先輩、きっと打ってくれるよ。」
府中先輩がバッターボックスに入る。ワンアウトとなってのこの打撃。もう府中先輩の打撃に任せるしかない。
シュゴオオオ バシーン!
ストライクワン!
相手投手の球も走っている。簡単には打たせてくれなさそうだ。しかし府中先輩からは打ってくれそうな雰囲気が出ている。大丈夫、信じれば大丈夫。
府中「(次振るか…。思いっきりいくしかない!)」
シューーー ギィイイイン!
府中「よっしゃ!」
卜部「回れ! セカンドいける!!」
打球は左中間にライナーで飛んでいく。そしてそのまま落ちてフェンスにぶつかる。府中先輩がベースを踏んで二塁へと向かっていく。
緒方「中継二つ! 間に合うぞ!」
ライトが捕球してセカンドが中継に入る。そしてセカンドから送球されてショートにわたる。ギリギリのタイミングだがどうか。
ザザザザ セーフ!
府中「っしゃ!」
府中先輩の足が勝った。これでワンアウト二塁、またチャンスで三番海鳳へと回っていった。




